女性コーチの指導に何度も口を挟む男性
筆者が通っていたテニススクールには、経験年数が長いベテランの男性がいました。テニスについて詳しいことを周囲にも伝えたかったのか、女性コーチが説明するたびに、自分なりの考えを口にすることがよくありました。ときには指導内容に対してダメ出しのような発言をすることもあり、まるで自分がもう一人の先生になったような雰囲気です。周囲の生徒たちも、その様子を何となく気にしていました。
説明を聞くより自分の理論を披露
女性コーチは感情的になることなく、その男性の話を聞きながらレッスンを進めていました。しかし男性のほうは、自分の経験や理論にかなり自信がある様子。技術練習でも「こうしたほうがいい」といった趣旨の話を繰り返し、コーチの説明にもたびたび意見を挟みます。そこまで言うのなら、さぞ実戦でも見事なプレーをするのだろうと、筆者も少し気になっていました。
試合形式になった途端に状況が一変
やがてレッスンは、実際にポイントを取り合う試合形式の練習になりました。すると、それまで豊富な知識を披露していた男性の様子が一変します。口で説明していたようにはプレーできず、思うようにポイントを取れません。テニスは相手がいるスポーツです。自分の思い通りの場所へボールが来るとは限らず、瞬間的な判断も求められます。それまで女性コーチへ盛んに意見していた男性は、次第に口数が少なくなっていきました。
最後はすっかり無口に
試合形式の練習が終わるころには、男性からそれまでの勢いは消えていました。女性コーチも特に何か言い返すわけではなく、いつも通りレッスンを続けていたのが、かえって印象的でした。知識として理解していることと、実際の試合でできることは別物。テニスに限らず、スポーツではそんな場面が少なくありません。女性コーチへダメ出しを続けていた男性が、実戦を境に静かになった姿を見て、筆者も改めてその難しさを感じました。
【体験者:50代・男性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:おかもとたかひで

