上級生とも呼び捨てで呼び合う仲に
これは、私の娘が小学3年生の時の話です。娘は小学1年生の時、九州のアイスホッケーチームに入団しました。チームには幼稚園生から中学生までが所属しています。
娘は入団当初から、挨拶や氷上での声かけ、練習後のウォームダウンのストレッチ中の談笑など、自分から積極的に話しかけていきました。
中でも仲が良かったのが、当時6年生の選手です。普段は優しい一方で、氷上では激しいプレーを見せ、細い体ながらもハンドリングなどの技で魅せる選手でした。
練習終わりにゲームの話をしたり、互いに描いた絵を見せ合ったりするうちに、2人は呼び捨てで呼び合う仲になっていました。
同学年の女子選手による直談判
3年生のある日、娘より先にチームにいた同学年のAちゃんが、監督とコーチに直談判をしました。
「あの子は他の選手になれなれしい」
Aちゃんが訴える隣には、その母親が立ち、様子を見守っていたそうです。
この直談判について、監督からもコーチからも、私に確認の連絡が来ることはありませんでした。娘と6年生の選手がどんな関係なのかを、誰かが確かめた様子もありません。
練習前、車のそばで告げられた厳重注意
練習前、監督は駐車場で車から荷物の出し入れをしていました。その車のそばで、監督は娘にこう告げます。
「関係性ができていないのに、なれなれしい態度を取るな」
厳重注意でした。
その直後、Aちゃんの母親が私のところへやって来ました。
「あれ、私たちが言ったのよ。私たちが言うと監督もすぐに対応してくれるのよ」
Aちゃんの母親は、当然のことをしたという口ぶりのまま、話を終えました。
「すぐに対応してくれる」チームの行き着いた先
この件を知った保護者の一人は、すぐにこう言いました。
「え、なんで?練習終わりにゲームの話したり、お互い描いた絵を見せ合うくらい仲良いんだから、呼び捨ても当たり前にしていいくらいの関係性じゃん!」
2人のやり取りを普段から見ていた保護者にとって、関係性はとうにできあがっていたのです。
それでも監督が、こちらに話を聞きに来ることはありませんでした。それどころか娘には、上級生への敬語を徹底して守るよう求めました。
呼び捨てで声をかけ合っていた6年生にも、娘は敬語で話すようになりました。
一方の訴えだけが、確認のないまま一人の選手への注意に変わり、娘と6年生の間で交わす言葉まで変えていく。
「私たちが言うと監督もすぐに対応してくれるのよ」
この1件で見えたのは、選手同士の関係を大切にするチーム力ではありません。一部の声と監督一人の判断で物事が決まる、ワンマンなチームの姿でした。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


