投げ過ぎだと思った右腕
これは、筆者が所属する草野球チームの仲間の話です。
40代のAさんは、草野球チームで投手を務めていました。ある日、右肩に張りを感じ、腕から指先にかけてしびれると訴えるようになります。Aさんは、前の週にいつもより長く投げていたため、肩や腕の使い過ぎだと考えました。
次の練習では投球をせず、家でもキャッチボールを休みます。主将には「少し肩を休めれば、次は投げられると思う」と伝えていました。
しびれがあることまでは話していません。痛むのが投げる側の腕なのだから、原因も投球にあると思い込んでいたのです。
休んだ日にも続くしびれ
ところが、投げずに過ごした日も指のしびれは続きました。仕事中にも気になり、次の試合までに治るかという不安が大きくなります。
主将から登板できるかの確認メールが届くと、Aさんはいつものように「大丈夫」と打ちかけました。しかし、ボールを握る指に違和感があるまま返事をするのは怖くなり、まず整形外科を受診すると伝えました。
診察室では投げた量だけでなく、投げていない日にも症状が出ることを説明します。自分では関係ないと思っていた細かな変化も、順番に話していきました。
医師が確認したのは首だった
医師は腕や手の状態に加えて首の動きも確認し、検査を進めました。首の姿勢によって腕へ響く症状と、頸椎の画像などを合わせて判断され、Aさんは頸椎症性神経根症と診断されます。
首から腕へ向かう神経が圧迫されたり刺激されたりして、肩や腕、指に症状が出ると説明を受けました。「投げる腕が悪いんだと思っていました」とAさんが言うと、医師は痛む場所だけで原因を決められないことを伝えます。
次の試合で伝えた欠場の返事
Aさんは医師の指示に沿って治療を始め、投球も見合わせました。主将へは、診断と症状を隠さず伝えます。
次の試合は別の投手が登板し、Aさんは体調に無理のない範囲で記録係として参加しました。試合前に仲間から「少しなら投げられそう?」と聞かれると、「今日は投げません」とはっきり答えていました。
以前のAさんなら、肩を回して大丈夫なふりをしたでしょう。その日はボールの代わりに記録用紙を受け取り、ベンチへ座りました。次の登板を予定表へ先に入れることもやめ、再開については受診時に相談することにしたのです。
【体験者:30代・男性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


