「スタメンは練習の評価だけで決める」と宣言した監督
私が中学2年の春、所属するクラブで新チームが始動しました。40代の監督は保護者説明会で「スタメンは練習の評価だけで決める」と宣言したのです。監督は週末に有料の個別トレーニングスクールも開いていて、練習後に参加者を募っていました。
私は練習のミニゲームで何度もアシストを決めていましたが、公式戦では途中出場ばかりでした。気づけば、スタメンの半数以上が監督のトレーニング教室に通う選手になっていたのです。スクールは月謝が高く、家計を考えると、通いたいとは母に言い出せませんでした。母が起用の理由を尋ねても、監督は「まだ守備が足りない」と答えるだけでした。
遠征帰りのバスで、Tくんが漏らした一言
夏の遠征の帰り、バスで隣に座ったチームメイトのTくんが「スクールに来れば試合に出してやるって言われて入った」とぽつりと漏らしました。Tくんも、親に月謝を出してもらうことを心苦しく思っていたのです。
Tくんの話はやがて保護者の間に広がり、60代のクラブ代表が、スクールに通う選手と出場時間を照らし合わせました。偏りははっきりしていました。クラブには「指導者が所属選手を個人の事業に勧誘してはならない」という規約があったのです。
起用の決め方が変わり、迎えた秋の大会
監督は規約違反で指導から外れ、起用はコーチ陣の合議で決める形に変わりました。出場時間の記録も、保護者に公開されるようになりました。
秋の大会、私は初めてスタメンで出場し、決勝点をアシストしました。スクールをやめたTくんは、練習後に私と居残り練習をするようになったのです。
まとめ
「練習の評価だけで決める」という宣言とは裏腹に、スタメンの多くは監督のスクールに通う選手でした。Tくんの一言と出場時間の照合で偏りが明らかになり、私は秋の大会で初めてスタメンをつかみました。
月謝で買えるポジションは、積み重ねた実力の前では通用しないと示した出来事です。起用に疑問を感じたときは、まず出場時間のような目に見える記録を確かめてみてください。
【体験者:20代・男性、回答時期:2026年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06


