かつてマンチェスター・シティなどでプレーした元イングランド代表DFジョリオン・レスコット。

191cmの長身ながら、左サイドバックもこなせるセンターバックとして活躍した。

画像: (C)Getty Images
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2017年に引退し、43歳になったレスコットは、ディスレクシアについて告白した。

ディスレクシアは、学習障がいのひとつで、読字障がいとされるもの。日本の厚生労働省は、ディスレクシアを「文字の読み書きのみの障がい」としている。

『BBC』によれば、レスコットは、ディスレクシアで学生時代に苦しんだものの、むしろサッカーでは役立ったと話したという。

「自分は(学習の)遅い生徒のひとりと見なされていた。当然、キャリアを積んで、大人になってからも学んだ…。それには診断名があって、ディスレクシアだった。

(読むことが苦手で)英語の授業でみんなが順番に読まなければいけない、あの恐ろしい段落を覚えている。パニックのようになったものさ。

自分の番まであと4人になると、どの部分を読むことになるんだろうって…前の人が何を読んでいるかも聞かずにその段落の単語を覚えようとしたりしたよ。

隣の生徒に『これ何て書いてある?』って聞いて、先を読んでいるふりをしながらごまかそうとしたりしていた」

そのうえで、レスコットは、ディスレクシアが「物事を処理するやり方」にも役立ったと語った。

「(たとえばサッカーで)パスがあそこに出たら、この選択肢があって、それが次の展開につながる。

だから、物事をすごく速く処理するのに役立った。さっき言ったように僕はとても視覚的な学習者だし、キャリアではそれが必要だったから…間違いなく成功に役立った。

(数学は苦手ではなかったし)休み時間や体育になると目立てたから、いじめやからかいはかなり避けられた」

レスコットは「選択肢とプロセスを洗い出して、現実的なものに絞り込んでいく」、ディスレクシアのおかげで「物事にこだわらず、選択肢をより速く処理して結果にたどり着ける」とも付け加えた。

慈善団体「MBD(メイド・バイ・ディスレクシア)」を創設したケイト・グリッグスは、「どのスポーツを見ても、ディスレクシアの思考を持つ選手は限界を押し広げ、記録を打ち破り、私たちにインスピレーションを与える。(ディスレクシアは)情報処理の仕方が違うだけ。ディスレクシアのスポーツ選手はプレーを記憶できる。視空間認識能力…自分自身の動きやそれが試合に与える影響の認識。ジョリオンが説明したことやスポーツ選手が成功するために使うすべてのことは、非常に強いディスレクシア的思考スキル」と語っている。

ディスレクシアの人は、視空間認識能力が高い傾向にあり、それがスポーツでの活躍に生かされることがあるようだ。

ミシガン大学が運営するディスレクシア支援サイトでは、元NBA選手のマジック・ジョンソンやボクシング元ヘビー級王者モハメド・アリ(故人)もディスレクシアと紹介されている。

筆者:井上大輔(編集部)

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