昨季の韓国1部王者である蔚山HD。

今季は序盤から不調を抜け出せず、最終順位12チーム中9位と、なんとか残留を果たした。

そうした中、韓国サッカーを揺るがす“監督の暴行疑惑”が明らかになり、物議を醸している。

韓国メディア『朝鮮日報』は1日、かつてJリーグのサガン鳥栖やヴィッセル神戸でプレーした韓国代表DFチョン・スンヒョンがシン・テヨン前監督による暴行・暴言が複数回あったと証言したと伝えた。

シン氏はシーズン途中の今年8月5日に、下位に低迷する蔚山の監督に就任した。だが、就任以降も低迷するチームを立て直すことはできず、10月9日にわずか2カ月あまりで解任された。

在任期間中からシン監督と選手の不協和音は生じており、同監督は解任された直後に「選手が下剋上のような行動を取った」と主張していた。

一方の選手とクラブ側は「シン前監督が選手を暴行するなど問題が多かった」との立場を示し、「詳しくはシーズン終了後に話す」と沈黙を貫いてきた。

済州SKに敗れたリーグ戦最終節の後、報道陣の取材に応じたチョンは「性暴力や暴行というのは、行った人が『自分はそんなつもりじゃなかった』と思っていても、受けた側がそう思えば、それは暴行になってしまう。ただ、私だけでなく、多くの選手がそう感じたはず。(シン監督に)問題が多かったのは事実です」と明かした。

また、現在ネット上でシン前監督が選手の頬を叩く映像が出回っており、シン監督は「少し荒っぽい愛情表現だった」と釈明しているが、チョンは「その動画を見て心配してくれる人が多かったです。特に両親が心を痛めていました。私自身も本当に嫌な気分でした」と、赤裸々に心境を話した。

さらに、新たに「シン前監督がチョンの耳元でホイッスルを吹いた」との噂もある。

この噂について問われた同選手は「クラブが声明を出す予定なので、きちんと整理して伝えられると思います。ただ、事実だからそのような話が出ているのではないでしょうか」と、この噂を否定しなかった。

一方のシン監督は同日に行われたリーグ年間表彰式で取材に応じ、「暴行があったなら、私は監督なんてできませんよ。(今回の件は)表現が行き過ぎただけです」と全面否定。

チョンについても「2016年の五輪、2018年のワールドカップをともに戦った仲間であり、愛弟子です。なぜこのようなインタビューが出てきたのか分かりません」と説明した。

頬を叩く映像についても「可愛がっていたスンヒョンと再会できて、うれしくて表現が過激になってしまったのだと思います」と、あくまで愛情表現だったことを強調した上で「もし彼が気分を悪くしたのなら、申し訳なく思います」と述べたという。

数日以内に蔚山から公式声明が発表される見込みで、サッカーファン以外からも大きな注目が集まっている。

韓国のスポーツ界で続く指導者のパワハラ問題は、今回の騒動を機に再び議論が高まりそうだ。

筆者:江島耕太郎(編集部)

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