[J1昇格プレーオフ2025決勝、ジェフユナイテッド千葉1–0 徳島ヴォルティス、12月13日、千葉・フクダ電子アリーナ]
J1昇格プレーオフ(PO)決勝に臨んだ千葉が徳島を破り、17季ぶりのJ1復帰を決めた。
この日センターバックで先発出場したDF河野貴志は、打点の高いヘディングで相手のクロスボールを防ぎ続けた。
相手の切れ目がない怒とうの攻撃を壁のように食い止め、完封勝利で有終の美を飾った。

河野はこの日、安定したパフォーマンスを披露して千葉の勝利に貢献した(写真手前右 縄手猟)
守備の要はチームを称える
今季リーグ戦14得点でゴールランキング3位に入ったFWルーカス・バルセロスを筆頭に強力な攻撃陣を有する徳島と真っ向から勝負した。
「粘り強く戦えたことで、いまの千葉の強さを発揮できたかなと思います」と言葉通りの粘り強い守備で相手の危険な攻撃をシャットアウトしてみせた。
鋭いオフザボールの動きを見せるブラジル人ストライカーがボールに触れる前に、河野は体を入れてクリアし、必死のディフェンスで相手FWの自由を許さなかった。
エース封じをしっかり果たした河野だが、「僕がというよりはチーム全体として封じられたと思います。後半のところではバーを叩くシーン、危ないシーンは作らせましたけど、ゼロで終われたことは、守備陣として高評価かなと思います」と、全員守備で臨んだチームを称えた。

徳島の強力な攻撃陣を封じ込んだ河野(写真中央右 縄手猟)
関西大卒業後にJ3ギラヴァンツ北九州へ入団した河野は、2023年シーズンからJ2ブラウブリッツ秋田へ入団。そして今季千葉へ加わり、J1の舞台へたどり着いた。
今季序盤はポジションをつかめない日々を過ごしたこともあった。
「秋田から覚悟を持って入ってきて、最初から活躍するつもりでした。最初は出られない時期もありましたけど、出られない時期が自分を強くしてくれた。(鈴木)大輔さん、鳥(海)くんと、すごくいいセンターバックの先輩方がいて、彼らのいいところから学ぶものがたくさんありました。それを完全に自分のものにできたことは、今年成長できた部分。改めて覚悟を持って移籍して良かったと思います」とほほ笑んだ。
誠実な人柄、努力を絶やさない人間性で信頼を勝ち取り、今季の千葉の躍進を語る上でなくてはならない存在へと成長した。
地道な努力を重ねながら、ついにトップディヴィジョンで戦う男は「JリーガーになってからJ1に行くために、サッカーをやっていたところもある。やっとその一番上のカテゴリーに足を踏み入れることができることはすごくうれしく思います。そこでの自分のチャレンジが楽しみですね」と胸を高鳴らせている。
(取材・文 宇田春一)
