2022年の女子EUROでイングランド女子代表に初優勝をもたらす決勝ゴールを決めたクロエ・ケリー。
国民的ヒロインになった彼女は、マンチェスター・シティで長谷川唯ととても仲が良かった選手としても知られている。
そのケリーは2024-25シーズンにシティで出場機会を失うと、今年1月に古巣アーセナルへと移籍し、不調を見せている。

2025年10月の対戦で再会したケリーと長谷川唯
シティを退団時には一部選手のネガティブな行動が精神状態に大きな影響を与えたと語っていたが、かなり深刻な状況だったようだ。ケリーは『Happy Place』で、当時の悲痛な思いを告白したそう。
「不安がピークに達して、トイレの床から起き上がれなくなった。吐き気が止まらなかったから。
犬の散歩に行ったり、塗り絵をしてみたりしたけど、摂食障害ではなかった。
悪循環だった。不安になりたくないし、吐くのも嫌だったのに、不安になるとどうしても吐かずにはいられなかったから。
(夫の)スコットが私をバスルームの床から引き起こして、ただ吐くのを止めるために廊下に連れ出したこともあった。
毛が抜け始め、『ダメ、これはありえない』って感じだった。その状態が続いて、『禿げているところがあるみたい』と夫に告げたのを覚えている。
反対側にも禿げがあるのに気付いて、脱毛症だと思った。医者に行って、『髪の毛が抜けているけれど頭がかゆい』と伝えた。すると、紹介してくれた専門医が素晴らしい女性で、脱毛症と診断してくれた。
不安がメンタル面だけでなく、身体に及ぼす物理的な影響だと思った。外見はとても気になるし、自信を持ちたいので、辛い時期だった。アーセナルの初戦は、禿げたところを隠していたのを覚えている。
パニック発作で、心臓発作を起こしたんじゃないかと思う時もあった。髪が抜け落ちていく時は、完全に禿げてしまうのではないかと不安だったことを覚えている。
先生は『3ヶ月かかる』と言っていた。だから、その後の3ヶ月は様子見だった。
いま髪を見ると、また生えてきている。この前の合宿ではポニーテールにしたけれど、髪が生え戻ってきた」
27歳のケリーはロンドン出身で、故郷にあるアーセナルに戻ったことが転機になったという。

嘔吐や脱毛に苦しんだ時期を乗り越えた彼女は「とても苦しかったし、絶対に外出したくなかった。大好きなサッカーが、多くの他の面で自分に影響を与えている。1月に声を上げて、ロンドンに戻り、幸せを見つけられた」とも話していた。
筆者:井上大輔(編集部)
