世界的に判定精度への関心が高まる中、サッカーのルール運用を巡る新たな技術革新が動き出している。
イギリスメディア『BBC』は22日、国際サッカー連盟(FIFA)が、ゴールに至る直前のプレーでボールがピッチ外に出ていたかどうかを判定する新技術「アウト・オブ・バウンズ」のテストを進めていると報じた。
この技術は今月カタールで行われたインターコンチネンタルカップの3試合で試験的に導入され、VAR判定の精度向上を目的とした複数の新システムの一部として検証された。
「アウト・オブ・バウンズ」は、現在FIFAの国際大会などで導入されているセミオートマチック・オフサイド判定で用いられるボールと選手のトラッキングデータを応用し、ボールが完全にラインを割ったかどうかを高精度で判断する仕組みだ。
近年、特にプレミアリーグでは映像角度の不足により判定が割れる場面が相次いでおり、こうした論争の解消につながる可能性があると伝えている。
あわせてFIFAは、オフサイドにおける「視線の妨害」を迅速かつ明確に判断するため、「リアルタイム3Dリクリエーション」の機能を拡張。VARと中継視聴者向けに、両ゴールキーパーの視点を再現した仮想映像を提供し、判断の透明性向上を図る。
さらに、明らかなオフサイド時に副審へ即座に音声通知を送るシステムの追加テストも実施された。これはプレー続行による危険な接触を防ぐ狙いがあり、実際に過去の負傷事故を教訓とした取り組みだという。
これらの技術はFIFAとホークアイ社が共同で開発しており、将来的に各国リーグへ導入されるかは未定だが、判定を巡る議論が多い日本のサッカー界にとっても、今後の動向は注視すべきテーマとなりそうだ。
筆者:江島耕太郎(編集部)
