黒田剛監督およびクラブに対し、Jリーグにより「けん責」の懲罰処分が決定したFC町田ゼルビア。
黒田監督は、2023年頃から選手の前で意向に沿わない選手を「造反者」と呼ぶなど排除を示唆する発言や、練習中にコーチを大声で叱責し、懇親会でもスタッフに暴言を吐くなどの不適切な言動を行っていた。
今年4月、一部報道により黒田監督のパワハラ疑惑が伝えられると、クラブは公式サイトにて記事の内容を即座に否定。パワハラは事実無根であり、クラブ内での第三者委員会でも確認が済んでいることを明らかにした。
しかし今回、Jリーグはクラブの姿勢および対応に関して、監督の業務を適切に管理監督し、違反行為を未然に防止・是正する体制を欠いており、内部統制上の不備が明確であるとした。
町田は懲罰決定を受けて、公式サイトでその事実を伝えるとともに、以下のように綴った。
「この度は、ファン・サポーターの皆様、パートナー企業の皆様、株主の皆様、後援会員の皆様、ホームタウンの関係者様、チームに関わる皆様、FC町田ゼルビアに関わる全ての皆様に多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
本件は、当該監督個人の問題にとどまらず、クラブとして適切な管理・監督体制を構築できていなかったことに起因するものであり、その責任を重く受け止めております。
クラブといたしましては、本処分を厳粛に受け止め、指導体制および組織運営の在り方を根本から見直し、ハラスメントに関する相談・通報体制の再構築、ならびに管理監督責任の明確化を速やかに実行して再発防止に全力で取り組んでまいります。
今回失った信頼を回復するため、クラブ一丸となって誠意ある行動を積み重ねてまいります。
改めまして、すべての関係者の皆さまに深くお詫び申し上げます」
さらに、翌24日は『懲罰の件について』と題したリリースを発信。黒田監督のパワハラを改めて否定するとともに、度を超えた誹謗中傷には然るべき法的措置を取っていく方針を明らかにした。
「2025年12月23日に公表されました黒田監督及び弊クラブへの懲罰につきまして、パワハラについては認定されておりません。
不適切な暴言についてのけん責につきましては、真摯に受け止め反省、改善してまいります。
また、度を超えた誹謗中傷には、引き続き一切の証拠を保全すると同時に、随時開示請求を行っていき、然るべき法的措置を取って参りますので宜しくお願いします」
ただ、Jリーグが「真相解明に支障をきたした」と問題視した、顧問弁護士同席での初期ヒアリングや、監督と関係者間の接触制限を行わなかったことなどクラブとしての姿勢や対応の不備について、その理由や再発防止の具体策は引き続き示されておらず、今後に不安が残る状況となっている。
筆者:奥崎覚(編集部)
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