2025年の天皇杯で初優勝を遂げた町田ゼルビア。
チームを率いる55歳の黒田剛監督は、異色の経歴の持ち主として知られる。
大阪体育大学を卒業後、ホテルマンを経て、2015年に青森山田高校サッカー部の監督に就任(前年はコーチ)。2022年まで率いた同校を高校三冠に導くなど強豪校に育て上げると、2023年に当時J2だった町田に新指揮官として引き抜かれた。すると、町田は黒田監督のもとでJ2優勝、初のJ1昇格と躍進を見せてきた。
その黒田監督がラジオ関西の『ハートフルサポーター』に出演。52歳という年齢で、高校サッカー界からプロの世界に転職したことなどについてはこう語っていた。
「プレッシャーしかないしね、就任した時は。はっきり言って、プロは分からないので。
(中略)
プロの構図がどうなっているのか、どういう選手たちがいて、またはどういう心構えで、トレーニングしてくれるのか、またはクラブの中のフロントも含めて、プロってどんなとこなんだろうなと。
スカウトなんかは、うち(青森山田)もだいぶプロ選手出してるんで、よく知ってるんですけど、強化部長とかも分かるんですけど、それ以外が全くわからない。
だから、最初は『すいません、2~3年はコーチをやらしていただいていいですか』って言ったら、『いえいえ、監督で』と(苦笑)そっかと…だから、よく知ってるコーチとか、理解者、スタッフである程度力をもらいながら、やろうと決めて。
(町田の監督就任当初について)なんか最初の印象ですけど、当時は宇野禅斗(青森山田出身、現清水エスパルス)もいた…。
(選手たちが)構えてたというか、青森山田をみんな知ってるわけですよ。プロでも。
そうするとそこの名物監督が来るっていうのは、やっぱり勝ちに飢えた監督だし、いろんな大会を勝たせてきた監督だっていう…。
舐められるというよりは、怖いのかなとか厳しいのかなとか、なんかそんな感じで多分見られてたと思うんですよね。
で、最初のミーティングの時に、教員風な割と理に適ったようなというか、割と根拠を持った話をしながら、選手たちがそのミーティングから結構腑に落ちるような印象を受けたと思うんですよ。
そこからやっぱり選手たちの食いつきというか、すごく取り組みもよくなった。そこまでいたゼルビアの選手たちもすごく真面目な選手たちが多くて、誠実な選手たちも多かった。
また19人ぐらい新しい選手が入ったから、割と新しいチームで上を目指したいというような選手たちが集まってきてくれたことも功を奏し、ひとつにまとまれたと思う。
だから、高校だからっていうのは別に…。隠すんではなくて、俺は高校しか知らないし、プロは知らない、だから全部教えてくれって。全然教えてくれていい。キャリアを持ってる選手たちからも聞きたいしね。ワールドカップに出た選手からも聞きたいし、外国人選手からも聞きたいし。
どんどん教えてほしいって。ただ、俺はやっていいことと悪いこと、またはこういう風に取り組んでいくことがやっぱり勝負どころではすごく重要だし、俺がやってきた勝負っていうのはやっぱりこういったところで絶対妥協しなかったって、それはみんなで守っていこうよって。そういう空気感を作りながら、妥協なくみんなで進んでいこうって。
そこはね、みんな本当によくやってくれたなと思いますね。みんなで意見言いながら、学びながら、それから自分自身も学びながら、ひとつのチームを作っていこうというスタンス。本当にそういう感じで一体になって戦っていったJ2だったと思いますよ」
プロの世界を全く知らなかったため、自らコーチ就任を打診したものの、町田側が監督を希望したそう。
就任当初は選手側もおっかなびっくりだったというが、自らも学ぶ姿勢を持ちながら取り組んだとのこと。
筆者:井上大輔(編集部)



