ワールドカップが掲げる「誰もが歓迎される祭典」という理念に、開催国アメリカの対応が改めて疑問を投げかけている。

イギリスメディア『The Guardian』は現地時間12日、パレスチナサッカー協会(PFA)のジブリール・ラジューブ会長は、2026年北中米ワールドカップへの出席に必要な米国ビザが発給されておらず、アメリカへ渡航できない状況にあると明かしたと報道。

ラジューブ氏は開幕戦が行われたメキシコには入国したものの、アメリカで開催される試合や関連行事には参加できない見通しだという。

FIFAは各国・地域のサッカー協会幹部を大会に招待する慣例があり、パレスチナ代表は本大会出場を逃したものの、ラジューブ氏にも出席資格が与えられていた。これに対し同氏は「世界中のサッカー関係者が大会に参加する権利を奪われるのは公平ではない」と訴えた。

今回の問題はパレスチナだけに限らない。ソマリアの審判員やイラク代表に同行予定だった写真家なども米国ビザの発給を受けられなかった。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は昨年、「誰もがカナダ、メキシコ、アメリカに歓迎される」と発言していたが、現実には一部の大会関係者が入国できない状況が続いている。

インファンティーノ会長自身も今週、「FIFAは各国政府の決定を覆せない」と説明しており、統括団体としても対応に苦慮している様子がうかがえる。

ラジューブ氏はさらに、ロシアで開催された2018年大会では同様の制限はなかったと指摘した。安全保障や入国管理は各国の主権事項ではあるものの、世界最大のスポーツイベントを主催する立場として、アメリカがどこまで「開かれた大会」を実現できるのか、その姿勢に国際社会の視線が集まっている。

筆者:江島耕太郎(編集部)
画像提供:Getty Images

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