「高地対策に“あの青い薬”はいかが?」
そんな驚きの話題が、イギリスメディア『Talk SPORT』で紹介されている。
もっとも、これはジョークではなく、実際に世界アンチ・ドーピング機構(WADA)のルール上では使用が認められているという。
イングランド代表は北中米ワールドカップのラウンド16で、共催国メキシコとの一戦を控えている。舞台となるエスタディオ・アステカは標高約2240メートルに位置し、トーマス・トゥヘル監督も「試合までに高地へ順応するのは不可能」と厳しい環境を警戒している。
そこで『Talk SPORT』が紹介したのが、勃起不全(ED)治療薬として知られるバイアグラだ。同薬はもともと高血圧治療薬として開発され、肺の血管を拡張することで高地での酸素供給を助ける可能性があるとされる。
とはいえ、「服用すれば劇的に強くなる」という話ではない。
『WADA』は有効成分シルデナフィルについて研究を行い、海抜ゼロメートル付近では競技能力を大きく向上させる物質ではないと結論付けており、2026年の禁止物質リストにも掲載していない。そのため、ルール上はドーピング違反にはならない。
記事では、2019年にアルゼンチンのクラブが高地での試合に向けて使用した例や、2009年にイングランド代表で「南アフリカワールドカップ用に導入される」と報じられたものの、サッカー協会(FA)が正式に否定したエピソードもあったという。
さらに元イングランド代表のカールトン・コールが、チームメートのいたずらで青い薬(バイアグラ)を飲まされ、「その日は“3本足”で一番速く走っていた」と笑い話として振り返った逸話まで取り上げられている。
同メディアもイングランド代表が実際に服用する予定はないと強調しているが、「ルール上は問題ない」という意外な事実は、あまり知られていないだろう。
筆者:江島耕太郎(編集部)
画像提供:Getty Images
