パラグアイの国内リーグと言えばグアラニー、ナシオナルなど古豪もかつては優勝を争ったが、今日ではリベルター、セロ・ポルテーニョ、近年は不振ながらオリンピアと3つのビッグクラブが凌ぎを削り、小規模な他クラブが入り込む余地は限りなく少ない。その閉塞したパラグアイリーグに新しい可能性を感じさせてくれているのが今季より一部リーグで戦うルビオ・ニュだ。

スタジアムの収容人数が僅かに4000人から5500人(諸説あり)と言われるこぢんまりとしたクラブのルビオ・ニュは、1913年創設と歴史は古いが2005年には3部に低迷するなど、1部での実績はほとんどなかった。ところが2008年、2部リーグで優勝して1980年以来の1部昇格を決定すると、迎えた2009年の前期リーグではオリンピアを下すなど8位と健闘し、後期リーグは19節終了までに首位ナシオナルと勝ち点差3と堂々の優勝争いを演じている。この劇的な変化の秘訣を探るのに時間は掛からなかった。クラブの会長が1998年のワールドカップでチラベルトの控えだったルベン・ルイスで、監督は元ガンバ大阪でパラグアイ代表でも長年プレーしたフランシスコ・“チキ”・アルセ。そして彼らと同世代で、同国の代表キャップ数歴代最多のカルロス・ガマーラら著名人も経営に携わっているとの事である。そしてリベルターから加入し、前期リーグに20試合16ゴールで得点王、後期リーグでも10得点で得点ランクトップのパブロ・ベラスケス(長身で左利きであるところからベンフィカのオスカル・カルドソのような飛躍も期待でき、現在ではアルゼンチンら複数のクラブが狙う逸材)や、この後期リーグからはアルセとも共にプレーしたカルロス・パレデス、フアン・ダニエル・カセレス、またロベルト・“トロ”・アクーニャが現役に復帰するなど豪華な援軍が加わり、監督、経営陣から選手まで気心の知れた選手が集まったチームは快進撃を続けている。優勝すれば来年のリベルタドーレス杯の出場権を得るが、そうでなくても年間の総合順位でコパ・スダメリカーナの出場権獲得にも近付いており、達成されれば十分な快挙と言えよう。

先日、“偉大な悪魔”ことホセ・カルドソもオリンピアの監督に就任。続々とあの時代の名選手たちが違った立場で戻ってくるようになってきた昨今、その先陣として“チキ”・アルセの手腕とかつての代表メンバーに支えられたルビオ・ニュの残り3試合、そしてその未来にも注目してみよう。

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