「スポルティングは倒れたままなのか?」という記事を書いてから一ヶ月近くが経った。新戦力のフィットに苦難し、フォーメーションも固まらず、公式戦4連敗、うち2試合で大量失点を喫していたスポルティング・リスボン。記事の後は、2月16日にヨーロッパリーグでエヴァートンに敗れ、4日後のリーグ戦でもオリャネンセに引き分け、実に公式戦7試合勝利無しと泥沼にはまっていた。あれからチームの状態はどうなったのか。
スポルティングの転機となったのは、2月25日に行われたヨーロッパリーグのセカンドレグ、エヴァートンと戦ったホームでの試合である。1-0、あるいは2点差以上の勝利が必要な状況で、スポルティングはなんと3-0という結果を残して快勝する。
この試合を切っ掛けに流れは変わった。その3日後のリーグ戦では、わずか26日前に5点を叩き込まれて完敗したFCポルトを、これまた3-0というスコアで退けてリベンジを達成。3月に入ってのベレネンセスとのリスボン・ダービーも、リエジソンが一人で4得点をあげる大活躍を見せて大勝。3連勝の上、3試合で13得点0失点と凄まじい結果を残したのである。この結果を得られた原因は簡単だ。「原点回帰」と「フォーメーションの固定」である。
勝利したエヴァートン戦から3試合、スタメンはセンターバックを除いて全く同じ顔ぶれであった。フォーメーションもカルロス・カルヴァリャル監督が就任当初に選択した4-2-3-1に固定。最終ラインは右からアベウ、トネウ、カリーソ(あるいはポウガ)、グリミ。ボランチにペドロ・メンデスとミゲル・ヴェローゾ。2列目には右からイズマイロフ、ジョアン・モウティーニョ、ヤニック・ジャロと並べ、ワントップにリエジソンという形だ。フィットしない新戦力のジョアン・ペレイラ、シナマ・ポンゴル、守備に不安が大きいアドリアンの3人はスタメンから外れた。
意図したものか偶然かは不明だが、この形が突然サッカーを機能させた。攻撃から守備の切り替えが素早く、前線から激しいプレッシャーをかける2列目。それに連動して豪快にポジションを上げ、コンパクトなブロックを形成する最終ラインとボランチ。さらにひとたびボールを奪えば、積極的な追い越しで攻撃にアクセントを付ける。豊富な運動量と高い攻撃意識、守備意識が求められるこの戦術は、まさにカルロス・カルヴァリャル監督が就任当初に求めたものだったのだ。
弱点がないわけではない。とにかく消耗が激しいため、どうしても試合の中で緩む時間がでてしまうこと。さらにここ数戦はスタメンを替えていないためか、直近のベレネンセス戦(3月7日)はやや消耗が早くなっていた。また最終ラインが非常に高いため、試合を支配していても時々決定的なピンチを迎える危険性を孕んでいる。
とはいえ、ハマった時の強さは素晴らしいものだ。リーグ戦では既に3位以内に入る可能性は低くなってしまい来季の欧州カップ戦への出場は絶望的だが、今季はエヴァートンに勝ったことでヨーロッパリーグ決勝トーナメント2回戦に進むことができた。まだビッグタイトルの望みがあるのだ。ここに来て調子が上がっているのはむしろ幸運である。まずは3月11日、18日のアトレティコ・マドリード戦。スペインの強豪クラブを叩いてベスト8へと進みたい。