前回は、ブルサスポルが好調で“実質的な首位”だという話をした。あれから数日経たない間に、中断になったディヤルバクル戦の勝ち点3が正式に与えられブルサスポルは首位に立った。トルコ・シュペル・リガの公式サイトの右下の順位表に注目だ。
今回は、なぜブルサスポルがここまで強くなったのか、その原因を簡単に紹介したいと思う。
強さの秘訣その1: 監督力
何といってもエルトゥールル・サーラム監督の力が大きい。EURO1996のトルコ代表でもあったサーラム監督は、現役時代トルコ代表30試合11ゴールをあげている。
1969年生まれと若い監督で、2003年に監督業をはじめてからこれまで指揮したチームは4つ。2006年にはカイセリスポルをインタートト杯優勝に導き、チャンピオン誌が選んだ世界でもっとも期待できる監督トップ20にも選ばれている。しかし、期待されて就任したベジクタシュでは1年と数ヶ月で解任の憂き目にあってしまった。
ブルサスポルに就任したのは2009年1月。2008-2009シーズンの後半戦に指揮をとると、昨シーズンは順位を6位にまでひきあげてフィニッシュした。最終節で運悪くUEFAカップを逃したものの、今シーズンはこれまで1位だ。若き監督の手腕は誰もが認めているところだ。
強さの秘訣その2: 組織力
サーラム監督が目指したのは攻撃的でありながら、組織的な守備も求めるチームだ。前任のギュヴェンツ・クルタルやサメト・アイババといった監督が、小さいチームならではの守備的な作戦をとったのに対して、サーラム監督は攻撃的な姿勢と、全員が献身的にチームのために走り続けることを求めている。
その結果、DFにスペシャルなタレントはいないが、ここまで21失点とビッグ3に匹敵する数字を残している。攻撃面でも同じく単一の得点源に頼ることなく、どこからでも得点がとれるチームへと変貌した。
今季は、4-2-3-1ないしは4-4-2とチーム状況に応じてフォーメーションを入れ替えている。実際、トップのセルジャン・イルディルムや左サイドのヴォルカン・シェンが怪我で離脱してもそれを補えるだけの力がチームにある。
<ブルサスポルの基本フォーメーション>
強さの秘訣その3: 選手を見る力
ブルサスポルの最後の強さはやはり選手だ。だが、その選手たちを見つけ育成してきたチームの力でもあると言える。前回取り上げたように、セルジャン、ハクタンの様な10代の若いユース代表選手たちと、エルギッチの様な代表クラスの選手など無駄がない。
ビッグ3と呼ばれているベジクタシュ、ガラタサライ、フェネルバフチェといったお金のあるチームが今シーズン、新加入選手が思ったよりフィットしなかったのに対して、ブルサスポルは戦力的に無駄がなく機能している。
総括してみると、選手、監督、チームと全てがフィットしているのが、現在のブルサスポルというチームだ。あまりお金がない中小クラブの典型的な例とも言えるが、やり方次第でここまでできる事を証明している。他の国でも見習うべき事例はたくさんあるだろう。