カルチョが開く新たな戦術の地平「コーナー時のゾーン守備」

守備は、フットボールにおいて大きな役割を果たしていることは言うまでもない。長い時を経て、守備理論は戦術家によって進化し続けてきた。守備戦術の進化は、同時に進化する攻撃戦術への敬意でもあった。

今回は、多くの人々が注目する分野である「コーナーにおけるゾーン守備」という観点に注目してみたい。この論争は、よく誤解される。なぜなら、この戦術には2つの重要な側面があるからだ。それは、「コーナーにおける危険地域のカバー」と「効果的なカウンターの創出」というものである。

一つの事実として、監督が考えるであろうことはコーナーキックの時にどのような配置をするかということなのではないか。マンツーマンとゾーン、どちらが間違ったシステムという訳ではない。何故なら、どちらを採用したところで100%失点を防げる訳ではないいからである。確かに、マンツーマンの方がより合理的だとは考えられているが。

マンマークというのは、守備者は攻撃側の選手にのみ集中して得点を妨害するだけでいいと思われがちである。しかし、実際はマンツーマンディフェンス時には相手選手だけでなく、空中でのボールの軌道を見ておく必要もある。

多くのパターンのコーナーキックに対処するのは決して簡単なことではない。更に、攻撃的なフットボールが奨励されている雰囲気がある現在、マンツーマンではカウンターへの考慮が無い。選手たちがコーナーキック時に、ペナルティエリアの周辺で様々な方向に動かざるを得ないマンツーマンでは、パターン化されたカウンターは難しいだろう。

例1:ズデネク・ゼーマン(ローマ)のコーナー守備

例2:ロベルト・マンチーニ(インテル時代)のコーナー守備

もちろん、ゾーンディフェンスにも多くの危険はある。

ディフェンス陣は、18ヤードの狭いエリアをカバーしてゾーンを組み、特に空中戦の強いプレイヤーがよりゴールに近い位置を任される。そして、DFが正しく、ボールを跳ね返せればそれを拾った選手がパターン通りに動き出すFW陣に合わせるカウンターが発動できる仕組みだ。しかし、即座かつ効率的なカウンターを発動する事によって状況を一変させるために重要なのは、トレーニングによって完璧にゾーンを機能させることにあり、どちら向きにもカーブするキックに対しても柔軟に対応しなければならない。

このコーナー守備に関する議論は、終わることはないだろう。だが、あなたが次にコーナーからの失点や得点を見たとき、あなたは「戦術評論家」のようにゾーン守備のメリットについて話すことが出来るだろう。

えー。ここまでが英語記事の意訳になります。ソースは以下。

http://forzaitalianfootball.com/2012/09/calcio-coaching-zonal-marking-at-corners/

今回は「コーナーキックにおけるゾーン守備と」という近年注目を浴びている分野だったので訳してみましたが、「カウンターを発動させやすくするためのゾーン」という“イタリアらしい思考”は正直個人的には思いつかなかった部分でしたね。

では、ここからは僕の意見を少し。

ゾーン守備が流行り始めた理由には、間違いなく「スクリーンプレーの流行」があると思います。例えば、南アフリカW杯ブラジル対チリ戦で、ブラジルのフアンがルシオのブロックを利用してヘディングを決めたプレーや、昨年行われた、CLのバルサ対ミランにおいて、プジョルがネスタ相手に見せたプレーはスクリーンを巧みに利用したものでした。

これらは、1人のアタッカーがスクリーンを用いて2人のDFを抑えることに成功したパターンでしたが、マンツーマンを逆手に取ったプレーであり、それらは「マークが外れた状態のプレイヤーを作ることは難しくない」と証明したものでした。特に、背走するDFはどうしても自分の背後からやってくるスクリーナーに気付くことが難しくなってしまいます。そうなってしまうと、ゾーンによって上手く状況に応じてカバーする発想も出てくるでしょう。

しかし、そんなに簡単にはいかないのがゾーン。特に、コーナーでのゾーンはデメリットの多さが目立ちます。例えば、相手で一番空中戦が強いプレイヤーに空中戦の強いプレイヤーを当てられないことです。ゾーンであれば、攻撃側は意図的に身長におけるミスマッチを作ることが出来ますし、マンツーマンに比べると間のスペースにどちらがいくのか迷いやすいゾーンでは、FWがフリーになってしまうエアポケットを作り出すことすらあります。特にコーナーでは一瞬の遅れが致命傷になりかねません。

ただ、この手の問題に関して言えば、個人的にはもっとGKを使ってもいいのかなという感はあります。コーナーでは比較的出てくるGKも多いですし、上手くDFがコースを塞ぐことによってGKが飛び出すゾーンというのをもっとしっかり定めてやると守備としては守るスペースが減るので守りやすくはなるのではないかと。無論、GKの実力にかなり依存してしまう部分ではありますが。また、バスケットで言うボックスワンみたいなハイブリッドも面白いのかなと思います。キーマンにだけマンツーマン、のような。

皆さんは、コーナーの守備はマンツーマン派ですか?ゾーン派ですか?良かったら感想お聞かせいただけたら嬉しいです。

筆者名 結城 康平
プロフィール サッカー狂、戦術オタク、ヴィオラファンで、自分にしか出来ない偏らない戦術分析を目指す。
ツイッター @yuukikouhei

最後まで読んでいただきありがとうございます。感想などはこちらまで(@yuukikouhei)お寄せください。

{module [170]}
{module [171]}
{module [190]}

【厳選Qoly】U-23日本代表、奮起が求められる3名!パリ五輪出場には活躍が不可欠

日本人がケチャドバ!海外日本人選手の最新ゴールはこちら