2012年3月に急性骨髄性白血病と診断され、闘病生活を送っていた元ブルガリア代表MFスティリヤン・ペトロフ。
長い治療を終えた彼が、昨年まで所属していたアストン・ヴィラの公式サイトのインタビューに答え、治療中の状況や今後の予定について話している。
(スタン、戻ってきてくれてうれしい。今日は何を話してくれるんですか?)
「ありがとう。今日は皆と会えてよかった。僕は強度の高い治療を終え、今後2年間はより低強度の薬物治療を行う予定だ。
とても、とても長い年だった。しかし今、治療を終えて普通の生活に戻ることが出来る。去年出来なかったことが出来る。子供を学校に送ることも、ここに来ることも、仕事をすることも。少し体重は落ちたけどね。
長い間、ファンから、クラブから、そして仲間から助けてもらった。それはそれは驚くほどにね。何か話せる機会を貰えるたびに、僕はそう言ってきた。この厳しかった一年が過去のものになったことが、とても嬉しいんだ。自分の生活に戻ることに専念することが出来る」
(ここまでの回復は、あなたと家族にとって奇跡?)
「病名が分かった時、それがどんな病かということは知っていた。しかし、どんな治療をするかということについては、何も知らなかったね。どれくらいの時間がかかるかも。そして、それによって何が起こるかも。
治療が長く続いたことにはとても驚いた。いつも『僕は死に向かっているのか?』と考えさせられてしまう日々だった。
しかし、多くの忍耐と、家族や友達、皆の支えがあって、僕はそれをどうにか乗り切ることが出来たんだ。辛い出来事はあったが、いい出来事もあった。
僕はとても幸運だったと思う。この種の病気に侵された人の一部はすぐに命を落とすことになり、またある人はずっと戦いを続けなければならなくなるからね」
(最初に病名を告げられた時は?)
「最初はただの風邪だと思っていたんだ。深刻なものだという予感はなかった。
診断結果が告げられた時、僕はわずかに衝撃は受けた。しかし、ただすぐに治療を始めたいと思ったんだ。時間は浪費することはできない、素早い決定が必要だということがわかっていた。こういう場合は、率直に、そして冷静に考える必要があるんだ」
(家族や友人、ファンから多くの支持を得た)
「19分に行われていたことは信じられないもの。それにどうやって応えればいいのか、わからないくらいだよ。友人は冗談めかして『19分にまだセレモニーをやってるよ、いつになったら止まるんだろうね?』ってメールで言ってたけどね。
本当に強く、素晴らしい妻を僕は持っている。子供たちもそうだし、両親も、兄弟も。皆がそばにいて支えてくれた。友達もそう。たくさんいるから名前を挙げることはできないけど、毎日毎日助けられていることを感じていた。
彼らだって自分の生活があるはずなのに、時間を割いて僕にメッセージを送ってくれた。何もかも、信じられないような話だよ」
(この闘病生活を経て、何かできること、やりたいことは?)
「このようなもので人々が団結できるということは、面白いね。不思議な感じではあるけど、ヴィラ・パークに来るアウェイのサポーターでさえ、皆参加してくれている。すごいことだし、その重要性を認識してほしいと思う。
僕はすぐに財団を設立したいと思っている。白血病をはじめとした問題に対するチャリティー用の資金、そして広報活動を行いたいと思っている。すでにそれを実現するための過程にいるよ。
僕はこれまでも慈善活動を支援してきた。それを今度は自分でやる番だと思う。困っている誰かを助けることは素晴らしいことだが、どれだけの支援が必要かということは把握しなければいけない。僕はそれが出来るように努力するつもりだ」
(病気の症状は治まっている?)
「長い治療を受けて、今は小康状態にあるよ。しかし、この種の病気は時間がかかる。確実なことを言うには、まだ待つ必要があるね。ただ、それを考えることはしない。次のステップに進みたいと思う。
とても困難で、とてもタフな時間だった。しかし、忍耐強く戦えば、それを乗り越えることが出来、そしてすべてが正常に戻ることを知っていた。僕はどうにかそれをやり遂げることが出来た。しかし、やはり親しい人々の支援なしでは、不可能だっただろうね」
(最悪の事態を切り抜けたと聞いて嬉しいです)
「誰かに説明しても完全には理解してもらえないかもしれないね。本人か、あるいは親しい人がそうなった経験がある人だけが分かることかもしれない。とても大きな救済であったし、僕は生活に戻れる。
時に、人々はそれを気の毒に思うものだ。でも、僕はそうならない。前に進み続けるし、仕事を続けるつもりだし、やりたいことをやっていく。今も、これからも。そして、未来のことを考える。
まずは家族との時間を過ごしたい。普通の生活に戻るということを彼らに示したいし、快適さを感じたい。特に子供たちは僕を恋しく思っていたようだから。僕が家にいることを喜んでくれている。
明日は学校の最初の授業日だからね。まずは子供たちをそこに送っていくつもりだ。私も、彼らも幸せに思っているよ」