2013シーズンのJ2、観客動員を見る
2008年にアジアを制するなど、Jリーグを代表する強豪クラブ、ガンバ大阪の参戦で盛り上がった2013シーズンのJ2。
最終結果は、就任1年目の長谷川健太監督率いるG大阪が優勝。2位にはヴィッセル神戸が入り、降格組の“2強”が下馬評通り1年でJ1へ復帰。そして24日に行われた最終節の結果、京都サンガ、徳島ヴォルティス、ジェフ千葉、V・ファーレン長崎がJ1昇格プレーオフ進出を決めた。
今週末の12月1日(日)にはさっそくプレーオフの準決勝、京都vs長崎、徳島vs千葉の試合が行われるが、その前に毎年恒例、J2各クラブの今季の観客動員について振り返ってみたい。(※昨季3~5位のチームは同6位の大分が昇格したため、順位を一つ下げて今季と比較。なお、収容率はJリーグ公式の「収容人数」より算出している)
観客動員はG大阪、神戸の上位2チームが順当にトップ2を占めた。降格組のため減少率も上位の両チームであるが、J1復帰を果たしたことで2014シーズンは再び増加に転じるだろう。
3位には、Jリーグ参入2年目の松本山雅が昨季に続きランクイン。最終節、千葉の踏ん張りにより惜しくもプレーオフ進出を逃したものの、愛媛FCとの試合はシーズン2番目となる16,885人を動員。その中で手にした1-0の勝利は、必ず来季以降へ繋がるものとなるはずだ。動員自体も15.8%という高い伸びを記録している。
最終節までプレーオフ進出の可能性を残していたコンサドーレ札幌が4位。シーズン途中に「ベトナムの英雄」レ・コン・ビンが加入し、ラスト2試合はベトナム国内で生中継されたように、今季、アジアの中で存在感を見せたJクラブの一つと言える。チームの方も、強化費の減額により若手主体のチーム編成を余儀なくされながら8位という好成績。優秀な下部組織出身の選手たちが大きな力となっている。
5位以下を見ると、ファジアーノ岡山が地域リーグ時代を含め、7季連続のプラス。ただし、成績の方はJ2昇格5シーズン目で初めて前年度を下回った。ガイナーレ鳥取も30.8%の大幅プラスとなったが、順位を2つ下げてしまい、クラブ初のJ2最下位。12月1日と8日に行われる入れ替え戦ではJFL2位のカマタマーレ讃岐の挑戦を受ける。(第1戦は讃岐ホーム)
こちらは1試合平均の観客動員が昨季より何人増えたかでランキングした表で、トップは長崎。JFLからの昇格組のためそれ自体はある意味当然の結果と言えるが、リーグ戦6位という成績を予想した人はおそらくほとんどいなかったことだろう。開幕を迎えた時点での長崎がどういったチーム・クラブであったかは、コラム「2013年のV・ファーレン長崎-J2参入初年度の各クラブ比較」を参考にしていただきたい。
とにもかくにも、地元出身の高木琢也監督のもとハードワークを武器にシーズン序盤から粘り強く上位をキープし続けた長崎は、J2参入初年度のチームとしては歴代最高の6位でフィニッシュ。大規模な改修により生まれ変わった長崎県立総合運動公園陸上競技場には平均6,167の観客が詰め掛けた。この一年がどういった形で終わるにせよ、「クラブ史に残るシーズン」となるに違いない。
最後に、リーグ全体で14.8%の大幅プラスとなった今季のJ2。その要因を考える上で分かりやすいのが、各クラブが今季最多観客数を記録した試合の一覧である。
この通り、2013シーズンのJ2は「ガンバ特需」に沸いたシーズンだったと言えるだろう。現役の日本代表、それもレギュラークラスの2選手が在籍し、さらに夏以降はドイツ帰りの宇佐美貴史が大活躍。元々G大阪がリーグ最多動員を誇る上に、「ちょっと見に行ってみるか」とライト層のファンが数多く試合に訪れたことは想像し難くない。
来年はこの辺りの“反動”が危惧されるところだが、クラブにとってはまずライトなファンにスタジアムへ足を運んでもらうことが重要であり、その意味でG大阪の貢献は数字以上のものであったはずだ。そして、そこから新規のサポーターを生み出すことができるかは、やはりクラブのフロントや監督・選手次第ということになる。
2008年以降、観客数や関心度、スポンサー料などが徐々に低下し、やむを得ず2015年からのポストシーズン導入に踏み切ったJリーグ。クラブを取り巻く状況は厳しさを増しているが、その中でも多くのクラブにとって、何かしら上昇のきっかけを掴んだ一年であったことを願いたい。
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