エストニアの首都タリンで行われたEURO2016予選、エストニア対イングランド戦はウェイン・ルーニーのフリーキックで決着した。

この試合にエストニア代表の一員として出場したDFアルトゥル・ピックにまつわるエピソードを『ESPN』が伝えている。(↓背番号19番がピック)

バルト三国の一つでもあるエストニア共和国には徴兵制があり、全一般男性には8か月間の兵役義務があるという。一方、トップアスリートは3か月間の集中コースでOKだそう。

そんなエストニア代表のEURO予選に向けた代表メンバー30名に21歳のピックも名を連ねていた。 ただ、彼は左サイドバックの3番手にすぎない存在だったことから、クリスマスを家で過ごせるように9月末から兵役に就いていたそう。 なんでも軍務優先が義務づけられているものの、所属クラブのレヴァディア・タリンで週に何度か練習することが認められていたという。

そんな折、左SBのケン・コロステがエストニア戦で退場、さらに同じく左SBのタイヨ・テニステが負傷してしまったことで、 ぺルソン代表監督はイングランド戦への準備のためにピックを兵舎から出せるよう国防軍に対し要望をおくらなければならない事態になった。 そして許可が下りるとピックは金曜日の夕方にチームに合流。土曜日に練習し、日曜日にはスタメンで試合出場という慌ただしい展開になったのである。

ピックは6月のタジキスタン戦で代表デビューしていたものの代表戦出場はこの1試合のみで出場時間もたった5分だった。そんな彼がイングランド相手の一戦に抜擢されたわけで、まさに急転直下の出来事であった。

試合を終えたぺルソン監督はピックについてこう讃えていた。 「彼は期待にこたえた。スタメンにアルトゥルを入れるかどうかについて決断しなければならなかった。彼はあまり経験がないのでね。だが、私は(30歳のベテラン、ドミトリー・)クルグロフよりも彼を選んだ。クラブレベルではシーズンを通してとても一貫したパフォーマンスをみせていたからさ」

一方、ピック本人はこのように述べている。

「この試合は僕にとってタフなものだった。今は毎日フットボールのピッチでトレーニングできていないからね。夜中までに兵舎に戻らなきゃいけない。モーニングコールは午前6時なんだ」

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