イングランド7部に所属するFCユナイテッド・オブ・マンチェスター(以下FCUM)は生活賃金財団から生活賃金雇用者として公認され、どのレベルのおいても最初にこの事業計画に登録したフットボールクラブとなったと発表した。

日本の独立行政法人、労働政策研究・研修機構によれば、イギリスにおける“Living Wage=生活賃金”とは以下のようなものだそう。

「市民団体が中心となって2001年にロンドンで開始した運動で、最低限の生活の質を維持するために必要な賃金額を算定し、雇用主に自主的な取り組みとして導入を求めるもの。 

(~)導入組織には、18歳以上の被用者および条件を満たす請負労働者に生活賃金以上の賃金を支払うほか、生活賃金額に改定があった場合も6カ月以内にこれに準じた賃金改定を行うことが求められる。」

また、「法定最低賃金と異なって企業には遵守義務はない」が、最低賃金を上回る額の賃金を支払うといったもののようだ。

FCUMによればクラブで働く全ての人間は正社員か否かに関わらず、1時間当たり最低でも7.65ポンド(およそ1305円)を受け取ることになるという。これは国の最低賃金である時給6.5ポンド(およそ1109円)よりかなり高いものだとしている。

FCUMの総務担当役員であるリンジー・ハワード氏はこのように語っている。

「FCユナイテッドは生活賃金の供給者となるだけでなく、この計画(運動)の認識向上についても嬉しく思います。これは我々の価値とコミュニティーの社会企業としての精神の重要な拡張です。私たちは多くの人達が最低賃金でやりくりしていくのに苦労していることも分かっています。低賃金の労働者の問題に対処するこの生活賃金やその他の政策は労働者たちが商品(物?)のように感じることを軽減させ、貧困との戦いにおけるポジティブな一歩になりえます」

一方、生活賃金財団(Living Wage Foundation)の重役、リース・ムーア氏はこうコメントした。

「我々はFCユナイテッド・オブ・マンチェスターを生活賃金雇用者として公認できて嬉しい。残念なことに、多くのサポーターグループやシーズンチケットホルダーたちの呼びかけにも関わらず、生活賃金雇用者として公認されているプレミアリーグのクラブはない。FCユナイテッド・オブ・マンチェスターが示しているリーダーシップを歓迎しているし、ビッグマネーをもったチームを含む他のクラブがこれに続いて、日々のハードな仕事にフェアな支払いで報いることを望む」

プレミアのメガクラブさえ導入していない試みを7部クラブが行ったというのは興味深い。

ただ、生活賃金に対する評価は分かれるところもあるようで、そのあたりは 前述の労働政策研究・研修機構のHPを参考に。

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