15日に行われたコロンビア1部リーグ(前期)の決勝リーグ第1節、インデペンディエンテ・メデジン対デポルティボ・カリの試合中にこんな場面があった。

メデジンのブラジル人FWエウトン・マルチンスが味方からのロングボールを胸トラップ後、フリースタイルなどでよく見られるボールを後頭部と背中の間に挟むトリッキーな小技を披露。すぐに相手に寄せられボールがラインを割ったが、問題はその後だ。デポルティボ・カリの数選手がエウトンに詰め寄り抗議したのである。どうやら侮辱と受け止められてしまったようだ。

この件で思い出されるのは2012年8月から2013年いっぱいまでJFLの藤枝MYFCでプレーした元U-20ブラジル代表ケルロンのこのプレーであろう。

2005年のU-17南米選手権で披露したこの“アシカ・ドリブル"は世界中で話題を集め彼を一躍人気者としたが、一方で敬意に欠けるとの声も上がった。実際、対戦相手はこの奇想天外な小技を目の当たりにした瞬間に血相を変え、非常に手荒な、もっと直接的に表現すると暴力的なプレーによってケルロンを“潰し"にかかっていることが分かる。

若き日のクリスティアーノ・ロナウドも変幻自在のフェイントを好む選手であったが、激しい肉弾戦を好むイングランドで彼の小技は好意をもって受け止められず、以降、それらのプレーを封印し今に至っている。このエウトンの奇抜なプレーも個人技で“魅せる"ことが評価される南米でさえ、主に敬意の面にスポットを当てて取り上げられている模様だ。

スポーツは純粋に楽しむものであるが彼らはプロでもある。プロは結果を出し続けなければならない一方、観衆を楽しませる責務も負っている。主に戦術論ではあるが、いつの時代にもあり、また、決して終わることのない「結果vsエンターテインメント」の論議。読者の皆さんはどう思われるだろうか。

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