ナセル・アル・ハライフィがオーナーに就任して以降、リーグアンで抜群の存在感を放ってきたPSG。

ズラタン・イブラヒモヴィッチやデイヴィッド・ベッカムというスーパースターを獲得し、エディンソン・カバーニやマルコ・ヴェッラッティ、チアゴ・シウヴァ、ダヴィド・ルイスといった世界クラスのタレントも数多く在籍。先週末に行われたUEFAチャンピオンズリーグでは接戦の末、あのジョゼ・モウリーニョ率いるチェルシーを倒しベスト8進出を果たした。

リーグ戦は2連覇中であるPSG。もちろん今シーズンも優勝候補の筆頭であったのだが、実は現在、あるチームに首位の座を譲っている。

そう、2000年代のフランスリーグを盛り上げたリヨンが首位に立っているのだ。

2001-02シーズンに初めてリーグ制覇を成し遂げたリヨン。その後もポール・ル・グエンらによって栄華は続き、なんと国内7連覇を達成。ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、ママドゥ・ディアラ、マイケル・エシエンという3センターは屈指の完成度を誇り、CLではレアル・マドリーを破りミランと互角にやり合っていた。

2007-08シーズンを最後にリーグ優勝のないリヨン。以降、モナコやPSGの台頭もあり2位→3位→4位→3位と順位を下げ、ついに昨シーズンは5位に沈んでいた。そんなリヨンだが現在、PSGに勝ち点2差をつけリーグアンの首位に立っている。

さて、そんな“復活"の最中にあるリヨンだが、現在フランスの中でもかなり若いチームであることをご存知だろうか?開幕節となったレンヌ戦の先発メンバーの平均年齢は22.4歳であった。

ここで、先週末に行われたマルセイユ戦に出場、あるいはベンチ入りした選手を見てみよう。

第28節 リヨン対マルセイユ戦

【リヨンの先発メンバー】

アントニ・ロペス

アンリ・ベディモ

クリストフ・ジャレ

ランゼイ・ローズ

サミュエル・ウンティティ

コランタン・トリッソ

ジョルダン・フェリ

マクシム・ゴナロン

ラシド・ゲザル

ナビル・フェキール

アレクサンドル・ラカゼット

【リヨンの控えメンバー】

マテュー・ゴルジェラン

ステード・マルブランク

マクスウェル・コルネ

ムアマドゥ・ダボ

モハメド・ヤッタラ

クリントン・ムア・エンジ

バカリ・コネ

この試合では18人の選手が登録メンバーに名を連ねたのだが、そのうちリヨンユース出身者は12人もいたのだ(太字がその選手。マルブランクがユースに在籍したのは1997-99年だが)。先発メンバーには8人もおり、開幕戦にも6人の下部組織出身者がいたという。

かつては前人未踏のリーグアン7連覇を達成し、欧州でも実績を残したリヨンだったが、その後結果が出なくなり、資金力を失い負債が増加。今でも経済的には決して恵まれてはいない状況にある。

その中でユースから引き上げた若手を我慢して起用することにより、彼らの才能を国内トップレベルにまで磨き上げている。アレクサンドル・ラカゼットやナビル・フェキール、サミュエル・ウンティティは既にプレミアリーグの強豪からも注目を集めるタレントとなっており、最初は頼りなかったコランタン・トリッソ、ジョルダン・フェリも成熟した選手となった。

このように、近年のリヨンは「育成型クラブ」へと姿を変えつつある。まだリーグ優勝が決定したわけではないが、下部組織への投資に加え、生え抜きを我慢して育てるという勇気がもたらした結果であるといえよう。

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