グアムが日本にできること
英語でのライ会長のスピーチでも何度か「タシマサン」と呼ばれた田嶋副会長は「ただ、日本が与えるばかりの一方通行の支援ではないんです」と話し、グアム側の整備で日本から各クラブや本田圭佑等の代表選手が個人トレーニングをできる環境ができた事に感謝しながら、英語を学びたいスポーツ選手がグアムに行く、スポーツ観光の分野でもサッカーが協力するなどの構想を明かしました。
ライ会長は「日本もかつてはスタッフが10人ぐらいしかなく、メディアも全然扱ってくれなかったから、頑張って下さい」という岡野俊一郎会長や、「グアムのランキングがミドルレベルまで上がれば、現在はそこにいる日本や韓国、オーストラリアなども刺激を受けて底上げになります」という小倉純二JFA会長(いずれも当時)からかけられた言葉も紹介しています。
続いての質疑応答では、ライ会長が「人口が18万人ではプロリーグの発足は極めて困難」としながら、多くの選手がアメリカ本土の大学で奨学金プログラムを受けて強化をしているのがもう一つの進歩要因とし、これを日本人の希望者にも活用できないかという点を述べていました。
ミクロネシア連邦は北マリアナの後で
せっかく私が行かせていただいたので、先日書いたコラムに絡んだ質問もしてきました。つまり、パシフィックゲームで惨敗したミクロネシア連邦をはじめ、ミクロネシア地域全体のサッカーにはどんな課題があるのか、そしてFIFAやJFAがどういう支援ができるのかという事です。あのコラムでも書いた通り、ミクロネシア地域でFIFAに加盟しているのはまだグアムしかないからです。
「記録的大敗」のミクロネシアをFIFAへ?-日本がアシストできるこれだけの理由
https://qoly.jp/2015/08/03/column-nakanishi-micronesia-fifa
ライ会長は「(一つの島でできている)グアムは恵まれていた」としながら、例えばミクロネシア連邦では島々の距離が遠いので練習や試合が難しいという事情を挙げました。
また、グアムは1992年にAFC、1996年にFIFAへ加盟しましたが、FIFAから当初OFCへの加盟を示唆されたものの、同加盟協会地域への移動はほぼオーストラリアを経由しないとできず(現在はこの直行便も休止中)、交通の便が良い日本や他の東アジア諸国がいるAFCに加盟できた事はとても幸運だったとも答えました。
グアム以外でも、隣のサイパン島などで作る北マリアナ諸島代表はJFAから関口潔監督が派遣され、2008年にEAFF、2009年にAFCへ加盟した後、2014年の東アジアカップ1次予選でマカオを2-1で下していますが、まだFIFAには加盟していません。 FIFA理事でもある田嶋副会長は「FIFA加盟にはスタジアム整備や代表チーム強化などの諸条件をクリアする必要があり、ライ会長とも協力して準備を進めていますが、まだ時間はかかります」と見通しを示し、ミクロネシア連邦やパラオなどについては「EAFFはミクロネシア地域全体が加盟対象です」と説明した上で、「まずは北マリアナのFIFA加盟を実現する方が先です」とも答えました。
あの署名活動が実を結ぶのはまだ先のようですが、JFAやEAFFを通じて地域の状況はFIFAも分かっているようですので、今後に期待しましょう。