こんにちは、駒場野です。
今回は10月28日と29日に行われた、「第44回東京モーターショー2015」のプレスデーレポートです。
東京モーターショーの取材自体は以前から続けていましたが、今回、どこがメインの媒体になるのかと聞かれて「Qoly」と答えたら、何と主催者の日本自動車工業会がそれで取材申請を通してくれました(笑)。
ならば、ちゃんとサッカーファンの視点で東京モーターショーを見て、Qoly読者の皆さんにお届けしよう……というのが、今回の企画です。特に、Jリーグのスタジアムやクラブの公式サイトで「スポンサー」として看板やバナーを目にするものの、主力製品が自動車部品なのでなかなかサポーターや一般消費者が触れる機会が少ないメーカーにスポットを当てて、各社のブースを重点的に伺いました。
自動車雑誌や業界紙、コンパニオン写真が中心のウェブサイトなど、様々な取材を受ける各メーカーの広報担当も、「サッカー」で来られるのは想定外。自社が各クラブのスポンサーになっているのは知っていても、「そういう質問には対応できない」というお答えの企業もありました。
それでも10社を超える企業の方に対応していただき、貴重なお話もうかがえました。そこから見えてきたスポンサー事情などについても触れてみようと思います。
系列と取引と地元-スポンサークラブの選び方
取材では、サッカーサイトであるQolyの読者には「自動車には詳しくない」方もいる事を前提にして各企業の概要を教えていただいた後、なぜサッカー、特にJリーグクラブのスポンサーになったのかという質問をしました。
多かったのは、自社の親会社がそのクラブの設立母体で、今でも同じ企業グループの中にいるという理由です。これは自動車に限らず、電機メーカーでも同じです。
ただ、巨大な自動車産業では子会社の規模も拡大し、それに見合う形でスポンサーとしての支援額も増えます。そんなクラブの主催試合を見に行くと、試合前のスポンサー紹介で「○○」という親会社の後に「○○エンジニアリング」「○○システム」など、明らかに子会社と分かる企業の紹介が続き、試合になると「○○」の胸スポンサーを付けた選手が登場します。
これに似たのが、「取引相手が持つクラブ」への支援です。自動車産業を支える部品調達網は複雑に絡み合い、親会社のいない「独立系」では、全部の自動車メーカーに部品を供給する事もあります。大口のお客様ですから、頼まれるならば……という事になります。そうすると、複数のJクラブのスポンサーになっていきます。
なぜライバル企業のクラブにはスポンサーになれても、ウチには入れないのか?と聞かれると、やはり弱いわけです。
もう一つは、「本社や事業所のある都市のクラブを応援する」。これはJリーグが基本理念にしている「地域密着」の流れですから、分かりやすいですね。
今回は調査対象外にしましたが、特にトヨタ系のディーラーは、その県にJクラブがあればほとんどスポンサーになり、スタジアムに看板を出します(埼玉では大宮アルディージャ、神奈川では川崎フロンターレと湘南ベルマーレに)。これは、各県の商業資本がトヨタ自動車からその県での独占販売権を得て正規ディーラーとなっても、そのディーラー会社にはトヨタは資本参加しないので「名古屋グランパス縛り」はなく、その県のJクラブを自由に応援できる環境があるからです。