マティアス・クラネビッテルは1993年生まれの22歳。リーベルの下部組織出身で、同クラブの伝説的な選手エンソ・フランチェスコリに「マスケラーノの後継者であることは疑いの余地がない」とまで絶賛されているボランチだ。

ただクラネビッテルはそれほどフィジカル的な強度に優れた選手ではなく、ボール奪取能力を「世界最高峰」と評価されるマスケラーノとタイプは随分と異なる。トップ下やFWに近い位置でもプレーでき、天才的な技術と戦術眼、配給能力を持つそのプレースタイルはフェルナンド・レドンド、あるいはフェルナド・ガゴを彷彿とさせるエレガントな選手だ。

一方でフランチェスコリはクラネビッテルを「ボールを持った時、また、失った時に自分が何をすべきか迅速に決断を下せる選手」と評価しており、マスケラーノの名前を出したのはもしかしたら、ピッチ上での卓越した判断能力と、チーム全体に与える影響力という点かもしれない。

また、比較されたマスケラーノもデビュー当初は現在ほど“ガツガツ”しておらず、線の細いスマートな選手だった。昔からアルゼンチンの「5番」(守備的MF)は経験を積むごとに精神的にも肉体的にも逞しさを身に付ける。若いクラネビッテルも今後そのような選手に変化もしくは成長したとしても不思議ではないのだ。

既にアルゼンチン代表デビューも果たし、1月からスペインのアトレティコ・マドリーへ移籍することが決まっている。リーベルのユニフォームを着て最後となる大会で、世界を驚かせるようなプレーを見せてくれるだろうか。

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