衝撃の一報だった。

2017年5月31日、鹿島アントラーズは石井正忠監督を解任することを発表した。前日にACL敗退が決まり、ショックが広がっている中でのニュースである。いち鹿島サポーターとしてまだ感情の整理がついている訳ではないが、「解任劇に対する2つの仮説」と「これからの鹿島」について筆を執りたい。

仮説①「ACL敗退がすべての引き金」

今季の鹿島は今まで以上にアジアでの戦いを重視していた。国内19冠を誇るクラブの歴史にアジア王者のタイトルを加えたいという熱い想いが、シーズン前からひしひしと感じられた。選手のコメント然り、大型補強然りである。

アジア王者への想いが強くなった背景には、昨年のクラブW杯での躍進がある。開催国代表として臨んだ世界の舞台で望外の準優勝。「来年はアジア王者としてこの場に出たい」という感情が新たなモチベーションとなっていた。

それだけに、早すぎる敗退は失望以外の何物でもない。タレント揃いの広州恒大に善戦したとはいえ、結果は結果である。更に言えば、ラウンド16での敗北は5回目だ。歴史は繰り返されるというが、またしても悲劇は起きてしまった。

ACL敗退の翌日に解任が発表されたという事実を踏まえると、「ラウンド16で敗退した場合は解任」という決定事項が首脳陣の中にあったのかもしれない。昨季の成功はもちろん評価に値するが、アジアで勝てなければ意味がないという考えだ。

ラウンド16は最大の鬼門であり、ここを突破できるかどうかが非常に重要だった。そこをクリアできなかった以上解任を決断せざるを得なかったということである。

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