FIFAによって2016年夏からビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の実証実験がスタートし、2年目を迎えているAリーグ。
現在VARは5大リーグのうち2つで使用され、2つで来季からの使用が決定しているなど、急速に普及が進んでいる。
しかし最も経験してきたAリーグではここに来て問題が頻発。先日のセントラルコーストとウェスタンシドニーの試合では、ついに「VARで覆った判定を試合後に撤回」という可能性まで示唆される事象も起こった。
『Guardian』のディーン・ビロン記者は以下のように書き、『カメラ神話』が危うくなっていることに警告を鳴らした。
『Guardian』
「間違いなく、VARを議論させているものは、事実と意見の間にある。
シドニーFCとメルボルン・シティの試合では、ルーク・ブラッタンのシュートがクロスバーに当たって、下に落ちた。
リプレイによってラインを超えたことは証明された。そこには騒ぎもドラマもない。人の記憶はすぐに断片的になり、それでレフェリーを批判するものだ。
しかし問題は、サッカーにおいては『意見の問題』に集約される部分があるということだ。ハンドやオフサイド、ファウルは『解釈』に埋もれるもので、VARは依然として『他の人間が判定する』に過ぎない。
また、さらに問題を大きくするのは、ビデオのフレーム(コマ送り)を使うことだ。例えば、第9節で取り消されたベサルト・ベリシャのゴールだ。
ある一つのフレームではオフサイドであったが、次のフレームでは十分にオンサイドであった。
また、先日VARによって導かれたセントラルコースト・マリナーズのジェイク・マクギングの退場は、相手のウェスタンシドニーの選手や監督すら疑問を呈するものだった。
ウェスタンシドニーのゴンバウ監督は、『1試合に5回ではなく、5試合に1回使ったらどうか』と進言した。
Aリーグ当局のグレッグ・オローク会長は『システムは調整が必要なだけだ』と示している。
しかしセントラルコーストのポール・オコン監督は『サッカーへの愛を殺している』と、かなり離れた立場を見せる。
このまま『意見』と『カメラ神話』の間の摩擦が続くならば、VARの正しさを証明するのは難しくなっていくだろう」