スペインで2人目となったトランスジェンダー女性のサッカー選手が、わずか4年で現役を引退することを発表した。
引退したのはバレンティナ・ベルという29歳の選手。性別変更を行った後、これまでCEエウロパ、テラサCF、レバンテ・ラス・プラナスでプレーしてきた経験を持つ。
『Antena 3』によれば、彼女はこの6月末で自身のキャリアに終止符を打つことを決めたという。その理由は、度重なる差別や侮辱的なメッセージに耐えかねていたためであるそうだ。
6月は『LGBTプライド月間』と呼ばれている。1969年6月28日にアメリカで黒人のトランスジェンダー女性を中心とした差別抵抗運動が発生したことから、全世界的に性的マイノリティーへの差別に反対するイベントが行われている。
ベルはこの6月28日に合わせ、抗議の意味もこめて引退を発表したという。
バレンティナ・ベル
「今日はとても奇妙な日です。このような時が来ることを望んではいませんでしたが、一方でこのような日を迎えなければなりませんでした。
この国際性的マイノリティー差別反対デーに、私はサッカー選手としての引退を発表したい。そしてそれがなぜ今日であるべきだったのか、説明したいのです。
練習や試合の後、パニック発作や不安障害に耐えられなくなりました。
私はこの4年間、多くの人々からトランスジェンダー女性に対する憎悪や言葉の暴力に苦しんでいました。
メンタルヘルスの悪化のために立ち止まらなければならなくなりました。心理的に続けることができませんでした。
テストステロン(男性ホルモン)量の制限を満たすことを余儀なくされるというプレッシャーも耐えることができませんでした。この基準はトランスジェンダーではない普通の選手も超える可能性があるものです。
また、私を侮辱し、屈辱を与えようとする無数のメッセージがインターネットにあります。私はその全てに苦しんでいます。
女子サッカーはオープンで多様性に富んでいます。我々はレズビアン、バイセクシャル、ノンバイナリー、男性的な女性、そして女性的な女性、普通の女性、そしてトランスジェンダーガールです。
女子サッカーは豊かです。現実は多様なもので、女子サッカーはその現実を表しています」