フランスで17歳の少年が交通警察の警官に至近距離から銃撃され死亡する事件が大きな問題になっている。
少年は停止命令に従わなかったとされているが、各地で暴動が起きており、すでに600人以上の逮捕者が出る事態に発展。
昨年、フランスでは交通警察から発砲された同様のケースで13人が命を落としている。
今回の事件で少年を銃撃した警官は殺人罪で起訴されたが、命の危険を感じたために発砲したと主張。
そうしたなか、フランス代表FWキリアン・エムバペはSNS上で長文の声明を発表した。
「全てのフランス人と同じように僕らも若きナエル(亡くなった少年)の残忍な死にショックを受けた。何よりも彼と遺族に心からの哀悼の意を表する。
当然ながら、この容認しがたい死が起きた状況に対して鈍感でいるわけにはいかない。
この悲劇が起きて以降、人々の怒りの発露を目にしてきた。その中身は理解できるが、やり方は支持できない。
労働者階級出身の僕らの多くはこのような痛みや悲しみの感情を共有している。
しかし、この苦しみには無力さを現実の自己破壊プロセスに加担させることも加わっている。
暴力は何の解決にもならない。ましてや、それを表現する人々やその家族、愛する人や隣人に対して、それが必然的かつ絶え間なく向けられるのであればなおさらだ。
あなたたちが破壊しているのは、あなたたちの財産であり、地元であり、街であり、充足感と近接の場所だ。
この極限の緊張状態のなかで、僕らは黙っていることはできないし、市民としての良心は、宥和、自覚、説明責任を求めるよう促している。
社会的アクター、親、近隣の大きな、あるいは小さな兄弟姉妹たちは、僕らの街に平和を取り戻すために働かなければならない。
僕らが愛着を抱いている「共に生きる」ことは危機に瀕しており、それを守ることは僕ら全員の責任だ。
他にも自己を表現する平和的かつ建設的な方法はある。それに僕らのエネルギーと沈思は注がれなければならない。
暴力の時代は終わらなければいけないし、追悼、対話、再建へ道を譲らなければいけない」
感情の発露は理解できるとしつつ、暴力的なやり方は支持できないとのこと。
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フランスのナンテールでは6000人以上が参加した平和的なデモの後に暴力事件が起きて、警官が負傷する事態も発生。仏首相も感情の高まりには理解を示しつつ、「暴動を正当化するものは何もない」と述べている。