弱いチームのサポーターというのは、修行のようなものだ。
筆者が応援する湘南ベルマーレは、まさにJ1残留争いの常連であり、2018年のJ1昇格以来6シーズンの最高順位は12位という弱小っぷりである。
負ける試合の観戦とはお金と時間を使って憂鬱になりにいくようなもので、毎回スタジアムへ通うサポーターであれば、さらに体力的にも精神的にもダメージは大きい。
サッカーにそこまで興味のない人から、「どうしてそんな弱いチームの応援してるの?」と言われることは良くあるが、いざ聞かれると返答に困る自分がいる。
そこで今回は、万年下位チームのサポーターが、何故そんなに弱いチームの応援を続けているのかを考えてみた。
次は勝てるかもと思ってしまう
完全にギャンブル狂の心理である。
「今回は負けたけど、次は勝てるかも!」と思ってしまい、課金を辞められない。
「ここまで続けたんだから、ここでやめたらもったいない!」と思って辞められなくなってしまうことを、心理学ではサンクコストバイアスという。
負けた試合であっても、上手くできた形もあった。プラスを見いだせる材料はあった。上昇の兆しは見えた。サポーターはこう言っているが、サンクコストバイアスに囚われて客観的視点を失っているだけだろう。
そして、「いつも負けているからこそ、たまに勝つとめちゃくちゃ嬉しい」ことも忘れてはならない。負けたことはすぐに忘れて、勝った快感だけが記憶に残り、また次の試合の予定もチェックしてしまうのである。
もはや勝ち負け以外に楽しみがある
サッカーは勝ち負けを争う競技である。しかし興行としてのプロサッカーには、勝ち負け以外にも楽しみはたくさんある。
スタジアムに行けば美味しいスタグル店がたくさん並んでいるし、馴染のサポーターとビールを飲むだけでも楽しい。
ネット観戦派の人でも、純粋にフットボールを見ているだけで楽しめる人もいれば、戦術分析的な視点で見ている人もいる。
勝ってくれたら嬉しいけど、負けても別に楽しめる。
これこそがサポーターの本音であり、長年興味を失わずにサッカーを見続けるコツかも知れない。
切っても切れない腐れ縁
「腐れ縁」という言葉の由来は、本来は鎖縁(くさりえん)と言っていたものに当て字をしたとの説がある。鎖のように固く結ばれた縁。そんな切りたくても切れない縁こそ、地元密着を掲げるJリーググラブとサポーターの縁だろう。
どんなに負け続けても、どんなチームに失望しても、どんなに他のチームを見ようとしても、結局はスマホで地元チームの結果をチェックしてしまう自分がいる。
人間一度入れ込んだものは、なかなか完全には捨てきれないものだ。
自分の子どものチームがどんなに弱くても応援し続けるのと同じで、そもそも応援し続ける理由に「強くて楽しいから」が無いのかも知れない。
長年見ているチームだからこそ、選手個人の生い立ちやクラブの歴史、積み上げてきた過程を知ってしまっている。これがサポーターがクラブから離れられなくなる、一番の理由だろう。
まとめ
クラブは山程あるなかで、わざわざ弱小チームを応援している人が思っていることを整理してみた。
改めてみると、スポーツを見るうえで「強いこと」だけにしか魅力を見出さないのは、実はすごくもったいないことなのかもしれない。
「強い」という誰にもわかりやすい魅力が無いからこそ、より幅広いサッカーの楽しみ方を知っているのが、弱小チームのサポーターなのだろう。