アトランタ・ブレーブスのドミニク・スミスが、母の死からわずか13日で「球史に残る奇跡」を起こした。現地時間3月28日、ブレーブスのホーム開幕戦でカンザスシティ・ロイヤルズと対戦したスミスは、9回裏にロイヤルズのクローザー、カルロス・エステベスからサヨナラ満塁本塁打を放ち、チームを6-2の逆転勝利に導いた。試合後、涙をこらえながら母への思いを語る姿に球場全体が包まれ、試合内容を超えた感動をファンに届けた。
MLB公式が伝えた「史上初」の記録
『MLB.com』の報道によると、スミスが放ったこのサヨナラ満塁HRは、「新チームでの初戦における移籍初戦のサヨナラ満塁本塁打」としてMLB史上初の記録となったことが、エライアス・スポーツ・ビューロー(公式記録機関)によって認定された。試合は2点を追う9回裏、無死一塁からの5点ビッグイニング。マイク・ヤストレムスキーとマイケル・ハリス2世のタイムリーで追い上げ、なお1死満塁でスミスに打順が回った。カウント3-2からタイムを要求し、気持ちを整えたスミスは次の高めのストレートを右翼席へと運んだ。スミスは「ブレーブスとは長く対戦してきた。こういう劇的な結末で何度も苦い思いをさせられた。今度は自分が勝利する側に立てて、本当に最高だった」と語った。
「彼女の存在を感じた」——母・イヴェットへの思い
スミスの母、イヴェットは昨年9月にがんと診断され、スプリングトレーニング開始直後に危篤状態に陥った。スミスはチームを1週間以上離れ、カリフォルニアの母のもとへ向かった。しかし3月15日の朝、スミスが不在のときにイヴェットは息を引き取った。同メディアによると、母の訃報は試合後の囲み取材まで公には明かされておらず、スミスの発言によってはじめて多くの人が知ることとなった。「今も涙をこらえている。彼女を感じない瞬間はない。本当に恋しい」とスミスは声を詰まらせた。ブレーブスのウォルト・ワイス監督も「あのホームランには、彼の多くの感情が詰まっている」と述べた。スタンドのファンがホームランボールをスミスに返すシーンも重なり、トゥルーイスト・パークは涙と歓声に包まれた。
