アルゼンチンで続くディエゴ・マラドーナの死亡裁判で、2021年の医療委員会に参加した精神科医2人の証言が8月20日に予定されていた。しかし同日、審理資料にマラドーナ本人ではなく父親のものとみられる検査データ約70件が混入していたことが判明し、証言は見送られた。発覚のきっかけは、8月18日の審理で腎臓専門医のトリマルチが証言していた際、弁護側がデータの矛盾に気付いたことだ。この「重大なすり替わり」を受け、法廷はスイス・メディカルなど関連施設への家宅捜索を命じ、裁判は約1週間停止した。
約70件の検査データが父親のものと判明
アルゼンチンのメディア『Ámbito.com』によると、混入していたのは2012年から2015年の間の検査データだ。スイス・メディカル側は、父親の名前に「アルマンド」という語を手動で加えた際に混同が生じたと説明している。
遺族側のフェルナンド・ブルランド弁護士は、父親の名前には本来ない「アルマンド」が使われていた点を指摘した。その上で、単純なミスとは考えにくいとの見方を示している。一方、被告の一人でスイス・メディカル側の在宅ケア責任者を務めていたナンシー・フォルリーニの弁護人は「意図しない誤り」と主張している。
医師団は"結論変わらない"と証言

ベネズエラのメディア『LaPatilla.com』によると、2021年の医療委員会は当時の治療チームの対応を問題視している。具体的には「不適切で無謀であり、患者は見放されていた」と結論づけている。投与されていた精神科薬の管理についても、不十分だったと指摘していた。同メディアによると、毒物学者のカルロス・ダミンは8月19日の証言で、アルコール離脱症状に対する精神科の治療薬は適切だったと述べた。一方で、心臓や血圧の薬、専門医の不足が問題だったとの見方を示している。
約1週間の中断を経て、裁判は8月27日に再開した。この日は精神科医2人ではなく、腎臓専門医のトリマルチ、循環器専門医のディ・ニーロ、肝臓専門医のカイロの3人が改めて証言に立った。3人は父親のデータを除いても結論は変わらないとして、従来の見解を維持したと伝えられている。
