練習試合でチームメイトのAに起きた衝撃的な出来事とは──?
荒ぶる「Z中」との緊迫戦
中学時代の夏休み、近隣3校のバスケ部が集まる合同練習試合が行われた。
その対戦相手に、正直あまり気乗りしない学校があった。
Z中学校だ。
彼女たちはとにかく気性が荒い。
Z中との試合後は、必ず身体のどこかに引っ搔き傷や青あざが増えている。
そんな荒い相手だが、いくら練習試合とはいえ、こちらも負けるわけにはいかない。
試合開始の合図とともにボールを奪い合い、点を取り合う。
一歩も引かない攻防の末、私たちがわずかにリードを奪っていた。
一瞬の静寂と、駆け巡るアドレナリン
その時は、唐突に訪れた。
後半開始してまもなく、チームメイトのAがシュート体勢に入り、跳んだ瞬間──。
Z中のディフェンスが、真横から容赦なく体当たりをした。
無防備な空中姿勢のまま吹き飛ばされたAは、けたたましい「ゴンッ!」という音とともにコートへ崩れ落ちた。
「A!」
呼びかけても反応がない。
ぴくぴくと痙攣する身体。
急いで駆けつける大人たちと、青ざめて涙を流す相手の選手。
重苦しい空気のなか、意識を取り戻したAは救急車で運ばれていった。
しかし、試合はまだ終わっていない。
再開の笛が鳴った時、チーム全員の心に静かな、けれど猛烈な炎が灯っていた。
言葉には出さない。
けれど、全員の目が言っていた。
(……絶対に勝つ)
怒りが生んだ、最高の仕返し
事故の罪悪感と気まずさからか、あれほど荒かったZ中のラフプレーは噓のように消えていた。
対するこちらは、怒りでアドレナリンが全開状態。
容赦のない怒濤の攻撃を畳みかけ、終わってみれば大差をつけて勝っていた。
スポーツマンシップの枠内で果たした、完璧な仕返しだった。
そして心配でたまらなかったAはというと、大事には至らず、2日後には笑顔で練習に復帰した。
少し記憶が飛んでしまっていたようで、「救急車の中がめっちゃ涼しかったのは覚えてる」と笑いながら語っていた。
何もなかったから笑えるものの、真夏のあの瞬間は本当に肝を冷やした出来事だった。
【体験者:40代・女性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

