肩の痛みを乗り越え、絶対に勝ちたい試合へ挑むが……
40代でママさんバレーに打ち込む主婦の女性。彼女は以前、スパイクが打てないほどの深刻な肩の痛みを抱えて私の治療院に来院し、懸命な治療を経て無事に競技への復帰を果たしました。その後も再発防止のために熱心にメンテナンスに通い続けており、絶対に勝ちたいと意気込み、強豪チームとの試合前日も万全を期すために来院されました。準備は万端、あとは本番で力を出し切るだけだったのですが、試合当日に予期せぬトラブルが彼女を襲います。遠方の試合会場へ車で向かう道中に運悪く大渋滞に巻き込まれてまさかの大遅刻。焦る気持ちとは裏腹に車は進まず、ようやく会場に到着した頃には試合が始まっていて、彼女は途中出場という慌ただしい形でのコートインとなってしまいました。
諦めが生んだ究極の脱力。強豪相手に大金星
遅刻による途中出場に加えて彼女にはもう一つの不運が重なっていました。猛暑対策としてスポーツドリンクをカチカチに凍らせて持参したのですが、用意した保冷バッグが優秀すぎたせいで全く解けておらず、肝心な時に水分補給すらできないという大ピンチに陥っていたのです。「こんな状態では、まともなプレーなんてできるはずがない」。相次ぐアクシデントに、彼女は半ば諦めモードになっていました。ところが、実はこの「諦め」が思わぬ形で功を奏します。変に諦めがついたことで全身の力が抜け、かつて肩を痛める原因にもなっていた「肩の無駄な力み」が見事に解消されたのです。ガチガチだった体が嘘のように連動し彼女のスパイクは面白いように次々と決まり始めました。結果的に彼女の大活躍もあり、チームはこれまで一度も勝てなかった強豪相手に見事な大金星を挙げたのです。度重なる不運が生み出した究極の脱力感が理想のフォームを引き出したお話です。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:おかもとたかひで
鍼灸師の国家資格を保有し、スポーツにおける故障の治療を中心に活動している。特に高校生の部活動でのケガからプレー復帰までの道のりや、ケガ予防を含めたコンディショニング指導に注力しており、過去にはオリンピック選手の治療に携わった経験も持つ。また、自身も千葉ロッテマリーンズの試合観戦に頻繁に足を運んでおり、球場での熱気や、ファンと選手の間で生まれるリアルなエピソードを交えたコラム執筆も行っている。

