バスケの試合途中に起きた、全員が床を這うようなトラブルとはいったい──?
いつも通りの緊張感ある試合
バスケットボール部に所属していた私はその日、大会の試合に出場していた。
試合は序盤から接戦。コート上では選手たちが真剣な表情でボールを追い、ベンチや応援席からも大きな声援が飛んでいた。
そんな試合中、突然、一人の選手が審判に声をかけた。
「すみません、コンタクト取れました!」
一瞬、何のことか分からなかった。
どうやらプレー中にコンタクトレンズが外れてしまったらしい。
試合が突然ストップ
ピピピピピピピ!
「ストップ!全員そこから動かない!」
審判がホイッスルを鳴らし、試合を止め、コート上の選手たちも動きを止めた。
「どこに落ちたんやろ」
本人がそう言いながら周囲を探し始める。
コンタクトレンズは小さいうえ、透明。
体育館の床に落ちてしまえば、簡単には見つからない。
すると、チームメイトたちだけでなく、相手チームの選手たちも探し始めた。
さっきまで激しく競り合っていた選手たちが、今度は敵味方関係なく全員で体育館の床に這いつくばって、小さなコンタクトレンズを探している。
観客席から見ても、なかなかシュールな光景だったと思う。
体育館に歓声と拍手
しばらく全員で目を凝らして探していると、ついに誰かが声を上げた。
「あった!」
無事にコンタクトレンズが見つかったのだ。
その瞬間、体育館から「おー!」と歓声が上がり、自然と拍手まで起こった。
さっきまで真剣な表情だった選手たちも、みんな笑顔。
無事に見つかったことにホッとしながら、顔を見合わせて笑っていた。
ほんの数分前まで敵同士で戦っていたとは思えないほど、体育館全体が一つになった瞬間だった。
笑顔から一転、再び真剣勝負
コンタクトレンズが見つかり、試合は再開。
「よかったな」と声をかける選手もいれば、笑いながら自分のポジションへ戻る選手もいた。
ところが、試合が始まった瞬間、空気は一変した。
さっきまで笑っていた選手たちが、再び真剣な表情に戻る。
敵味方に分かれ、全力でボールを追い、点を取り合う。
試合中に起きたまさかのトラブル。
でも、あのときは敵も味方も関係なく、みんなで一つの小さなコンタクトレンズを探していた。
今でも思い出すと笑ってしまうが、同時に、スポーツってこういう瞬間があるから面白いと思える出来事だった。
【体験者:40代・女性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

