空手の大会に出場した娘の対戦相手はとても大柄な選手。
相手の長いリーチに苦戦するが──。
並んだ瞬間に分かった明らかな体格差
地域の空手道場に通っていた中学生の娘が、大会に出場した時のこと。
トーナメント表を見て、次の対戦相手が決まったとき、私は思わず相手の選手を見た。
娘よりも明らかに体格が大きい。
身長も高く、特に腕の長さが全然違う。
向かい合っているだけでも、リーチの差がはっきり分かった。
相手の選手は落ち着いた様子で、余裕があるようにも見える。
一方の娘は、155cm以下で小柄。
さすがに少し緊張しているようだった。
「大丈夫かな」
応援するこちらまで、少し不安になった。
長いリーチに何度も阻まれる
試合が始まると、その不安はすぐに現実になった。
娘が間合いを詰めようとしても、相手の長いリーチが先に届く。
こちらから攻撃しようとすると、その前に相手の技が飛んでくる。
娘はなかなか自分の距離に入ることができず、思うように攻撃できない。
体格差だけでなく、リーチの差も想像以上に大きかった。
何度か攻撃を仕掛けるものの、相手にかわされたり、先に技を出されたりする。
見ているこちらも「このままでは厳しいかも」と思い始めていた。
小柄だからこそできる動き
それでも、娘は諦めていなかった。
相手の動きをよく見ながら、何度も間合いを取り直していく。
そして、相手が技を出した直後に、少し動きが止まる瞬間があることに気づいた。
「今なら入れる」
そう思ったのか、娘はそれまでより一気に距離を詰めた。
長いリーチを生かすには、ある程度の距離が必要になる。
ならば、その距離をなくしてしまえばいい。
娘は持ち前のスピードを生かして相手の懐に入り、素早く攻撃を繰り出した。
今度は相手が対応する番だった。
最後まで諦めずに勝ち取った勝利
そこから少しずつ流れが変わった。
相手が距離を取ろうとすれば娘が追い、技を出した瞬間には懐へ入る。
最初はあれほど苦戦していた長いリーチも、試合の後半にはほとんど気にならなくなっていた。
そして最後まで攻め続け、娘は見事に勝利した。
試合前には体格差のせいか、余裕があるように見えた相手選手も、試合が終わると驚いた表情を見せていた。
娘も試合を終えて、「最初は全然入れなかったけど、近づいたらいけた」と笑っていた。
体格もリーチも相手のほうが上。
それでも、小柄だからこそのスピードと動きで、自分より大きな相手を攻略した。
最初は「厳しいかもしれない」と思った試合だったが、最後まで諦めなかった娘の姿に、応援していた私も胸が熱くなった。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

