これは、筆者の友人が小学生の時に通っていた、空手道場での話。
師範の“お気に入り”が次々に変わることに気づいた私が、後に知った衝撃の真実とは──?

なぜかAだけが特別扱いされていた

空手道場には師範がいて、子どもたちを指導していたのだが、当時の私は「Aだけ、なんか特別扱いされてない?」と感じていた。
練習中もAには優しく、他の子とは少し違う接し方をしているように見えた。
小学生だった私は、それが気になりながらも「Aは上手いからかな」くらいに思っていた。

ところが、しばらくすると師範の様子が変わってきた。
Aへの特別扱いがなくなり、今度はBに優しくなったように感じる。
「ん? 今度はB?」
子どもながらに、少し不思議だった。

Aの次はB、その次はC。「次は僕かな?」

さらにしばらくすると、Bへのえこひいきもなくなった。
すると今度はC。
Cへの接し方が、明らかに他の子とは違うように感じた。

その頃には、私はあることを考えるようになっていた。
「もしかして、順番に優しくしてるんかな?」

A、B、C、その後は、Dに移った。
「やっぱり!」

小学生だったので、それぞれどれくらいの期間だったのかは覚えていない。
たぶん、一人につき数か月から1年足らずくらいだったと思う。

そしてDの次にはE。
「次は僕かな?」
そんなふうに、子どもなりに少し楽しみにしていた。

Eのお母さんと師範を見かけた日

ある日、遊びから帰る途中だった。
車通りの少ない道を自転車で走っていると、停車している車が目に入った。

車内には、師範とEのお母さんがいた。
二人で何かを見ているようで、楽しそうに話しているようだった。
そして、子どもだった私から見ても、二人の距離が少し近く感じた。

「何してるんやろ?」
その程度に思いながら帰宅し、何となく母にそのことを話した。

次の練習日。
それまでとは、どこか空気が違っていた。
師範が誰か一人に特別優しくすることもなく、かといって全員に厳しいわけでもない。
私は少し気持ち悪さを感じた。
そして気づけば、Eへのえこひいきもなくなっていた。

後から知った「お気に入り」の本当の理由

少し大人になってから、私は真実を知った。
師範は、AからEまでの母親たちと不倫をしていたらしい。

「あの順番に優しくなっていたのは、そういうことだったのか……」
「次は僕かな?」と思っていた当時の自分を思い出すと、少し複雑な気持ちだ。

母が言うには、師範は保護者たちにかなり厳しく責められたそうだ。
説明を求められ、謝罪することになり、まるで記者会見のような騒ぎだったと聞いた。

小学生だった私は、もちろんそんな事情など知る由もない。
まさかその「順番」に、そんな大人の事情が隠されているとは思いもしなかった。

【体験者:30代・男性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

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