これは筆者の知人が高校生の時の話。
いつもテニス部の練習をフェンス越しに見ていた近所のおじさん。
何気なくかけた一言をきっかけに、意外な過去が明らかになる──。

いつもフェンス越しに見ているおじさん

高校の女子テニス部で、練習中にフェンスの外からじっと練習を見ているおじさんがいた。
近所の住民らしく、部員たちの間では「いつもいる散歩中のおじさん」と呼ばれていた。
特に話しかけてくることもなく、みんなもそれほど気に留めていなかった。

ボールを拾いに行った先で突然のアドバイス

ある日の練習中、おじさんがいるフェンス近くへ、ボールが飛んでいった。
取りに行った私に、おじさんが突然「ちょっと力入りすぎやな。ラケットを握る力、もう少し抜いてみ」と声をかけてきた。

突然のアドバイスに戸惑ったものの、言われた通りに握る力を少し緩めて打ってみることに。
すると、いつもよりラケットが振り抜きやすく、ボールも気持ちよく飛んだ。

何気ない一言で、気になる存在に

「たまたまかな」と思いながら、次の練習でも同じことを意識してみると、ショットが安定するようになってきた。

私はおじさんに「この前教えてもらった通りにしたら、打ちやすくなりました」と感謝を伝えた。
すると、おじさんは少し笑って「昔、少し教えてたからな」と一言。

私が顧問や部員にそのことを話すと、顧問は驚いたような表情を見せた。
その一件で、「あのおじさん、何者なん?」とみんなが気になる存在に。

そして顧問は後日、おじさんに話を聞きに行ったそうだ。

実は2つの肩書きを持つ、すごい人だった

顧問から聞かされたのは、思いもよらない過去だった。
実はそのおじさんは、かつて全国大会への出場経験を持つ元テニスプレーヤー。
さらに現役を退いた後は、有名大学のテニス部で指導者を務めていたという。

毎日のようにフェンス越しから練習を見ていたのも、ただの暇つぶしではなかった。
選手たちの動きを見ながら、昔から好きだったテニスを静かに楽しんでいたのだ。

「あのおじさん、何者なん?」と思っていた部員たちが知ったのは、実は自分たちよりずっとテニスを知っている人だった。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

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