大学の夏休み、父と初めてコースを回った
私は大学の夏休みに、父と初めてラウンドに出ました。せっかくの機会なので、少しでもスコアを縮めたいと思っていたのです。
ところが父が口にするのは、バンカーの砂ならし、ディボット跡の目土、グリーン上での歩き方ばかりでした。気温の高い一日で、汗が止まりませんでした。
猛暑と小言が重なり、つい言い返してしまった
ホールを重ねるたび、私の苛立ちは大きくなっていきました。スコアの話をしたいのに、返ってくるのは砂のならし方への指摘だったからです。
後半のホールで、私はとうとう「今日は練習じゃないんだけど」と言い返しました。父は黙り込み、重い空気のまま残りのホールが進んでいったのです。
最終ホールで同伴者がかけた一言
最終ホールで、同じ組になった年配の男性が私に声をかけてくれました。「お父さんの直したバンカー跡、今日一番きれいだったよ。あれ、次に入る人のためだから」
私はスコアしか見ていませんでした。父が繰り返していたのは小言ではなく、後から来る人への配慮だったのだと気づき、顔が熱くなりました。
ラウンド後、自分から切り出した言葉
ラウンドを終えたあと、私は自分から「今度は道具の手入れも教えて」と切り出しました。父は少し驚いた顔をしてから、笑ってくれたのです。
それ以来、私たちは月に一度、二人で練習場に通っています。
まとめ
スコアばかり追いかけていた私は、同伴者の一言で、父が守っていたものの意味を知りました。注意されていた内容は変わっていませんが、受け取り方は大きく変わったのです。
次のラウンドでは、自分が使ったバンカーやグリーンを一か所だけ丁寧に直してみてください。同じ組の誰かが、その仕事をきちんと見ているかもしれません。
【体験者:20代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06
幼少期からさまざまなスポーツに親しんできた、10代の現役学生ライター。合気道やテニス、アーチェリーなど、ジャンルの異なる競技と向き合ってきた。自身の経験に加え、周囲にもスポーツに取り組む友人や知人が多く、競技の裏側や選手ならではの悩み、恋愛、人間関係など、リアルなエピソードに触れる機会がある。そうした実体験や身近な声をコラムとして執筆している。

