9人しか揃わない相手校に貸し出された1年生
私は高校1年の秋、サッカー部でサイドバックを任されていましたが、公式戦はもちろん、練習試合でもほとんど出番がありませんでした。同学年の選手が先に起用され、ベンチから試合を眺める時間の方が長かったのです。
その日の練習試合は、相手校の選手に体調不良が重なり、9人しか揃いませんでした。顧問同士が話し合った結果、私を含む自校の控え2人が、相手チームに入って試合をすることになりました。
相手のユニフォームで2アシスト、黙り込んだ自校ベンチ
相手チームで指示されたのは、いつもより一列前の位置でした。慣れない役割でしたが、ボールを持って前を向ける場面が続き、前半だけで2つのアシストを記録したのです。
得点が入るたびに、相手校の選手が駆け寄ってきました。一方、自校のベンチに目をやると、3年生は誰も声を出さず、黙り込んでいました。喜んでいいのか、申し訳なく思うべきなのか、自分でも判断がつきませんでした。ハーフタイムは水を飲むふりをして、ただうつむいていました。
試合後にかけられた、顧問の短い一言
試合が終わって荷物をまとめていると、自校の顧問(30代男性)が近づいてきました。顧問から言われたのは「お前、前で使った方がいいな」という一言だけでした。
冬の練習では、ボランチとして試される機会が増えました。守備の位置から一列前に立つと、見える景色がまるで違いました。そして翌春、私は公式戦のメンバーに名前を入れてもらえたのです。
まとめ
人数が足りない相手校に貸し出された一日が、私のポジションを変えました。同じチームで出番がない選手でも、立つ場所が変われば結果につながる場合があります。今でも私は「あの日、借りられたおかげでポジションが変わった」と感じています。相手校の選手とは、その後の対戦のたびに声を掛け合う関係が続いています。
出番が少ないと感じている人は、自分が今の位置で本当に力を出せているのか、一度指導者に確かめてみてください。
【体験者:20代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06
幼少期からさまざまなスポーツに親しんできた、10代の現役学生ライター。合気道やテニス、アーチェリーなど、ジャンルの異なる競技と向き合ってきた。自身の経験に加え、周囲にもスポーツに取り組む友人や知人が多く、競技の裏側や選手ならではの悩み、恋愛、人間関係など、リアルなエピソードに触れる機会がある。そうした実体験や身近な声をコラムとして執筆している。

