揉め事の多いA先生
「今度の大会、応援に来てください」
自分のクラスの生徒にそう言われ、私はソフトテニスの大会会場に来ていた。ふと対戦校のベンチを見ると、以前関わりのあったA先生が顧問として座っていた。
以前から指導に熱が入りすぎる傾向にあり、生徒や保護者と揉めることが多い先生だったが、「A先生はどの学校に異動しても相変わらずあの調子だよ」と、風の噂で良くない話ばかり耳にしていた。
ルールなどおかまいなしで大暴走
この大会では、中学生の生徒たちが審判を務め、決勝戦のみ教員が担当することになっていた。試合が始まると、A先生は昔のように常に怒鳴りながら指示を出していた。そもそも大会規定として、試合中に顧問が大声で指示を出すことは禁じられていたのに──。
大会役員がA先生に何度か声をかけている様子が見え、おそらく注意をしていたのだろうということは誰が見ても理解できた。しかし、A先生のボルテージは上がっていくばかり。怒鳴り声はますます酷くなり、観客の間でもヒソヒソとA先生の行動を非難する声が聞こえてきた。
A先生の行き過ぎた言動──ついに観客と大会役員が動く!!
そしてついに、「アウト」とコールした中学生審判にまで「今のはインだろう! どこを見てんだ!」と怒鳴り飛ばして詰め寄ったのである。他校の見知らぬ顧問から突然怒鳴られ、自分のジャッジにも自信がなくなってしまったのだろう。中学生審判は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
しかし、観客席から大きな声が聞こえ始めた。
「顧問が口出しするのはルール違反だろ!」「審判にまでいちゃもんをつけるのか!」
堪忍袋の緒が切れた保護者たちが一斉に口を開いたのである。また、試合観戦していた他校の部員たちまで「そんなのおかしい!」と主張するように。
そして大会役員が再びコートにおり、A先生に「これ以上こんなことを続けるのなら、コートから出てください」と告げた。その役員の一言に、観客席からはなんと拍手が。役員への感謝、そして総意の拍手だった。
“熱意”だけでは伝わらない
不満そうな顔をしていたA先生だが、さすがに会場全体の空気を察したのか静かに自席に戻り、その後は大人しく試合を見守っていた。
A先生自身は勝たせてあげたいと思っていた故の熱い指導だったのかもしれないが、その思いは残念ながら生徒や保護者には伝わっていなかった。日々の練習からA先生があの様子なら、信頼関係を築くことはかなり困難なことだろう。
この出来事をきっかけに、少しでもA先生の態度が改善され、生徒たちがのびのびプレーできる環境に変化していることを願うばかりだ。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:村木 あすみ
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた30代2児の母。また、公立中学校教員として勤務した経歴もあり、部活動にも携わってきた。自身のスポーツ経験や観戦、そして教育現場で見聞きしてきたリアルなエピソードをコラムとして執筆している。

