これは私の知り合いのA先生(中学校卓球部副顧問)から聞いた話である。A先生と一緒に組んでいたB先生(中学校卓球部主顧問)の私物ラケットが行方不明になってしまい大騒ぎ。「ラケットを盗んだのは誰だ!!」と一方的に生徒を疑ったB先生だったが、ラケットはまさかの場所に──!?

生徒といつもバチバチ──対立してばかりのA先生

中学校男子卓球部での出来事。A先生は卓球部の副顧問を、B先生は主顧問を務めていた。B先生は血気盛んで、いつも指導に熱が入っていた。しかし、その大半は自分のイライラした感情を生徒にぶつけるものばかりで、残念ながら信頼はほとんどなかった。

また、自分が気に入らない生徒がいるとすぐさまロックオン。ロックオンされた部員は何をしても怒られたり文句を言われたりと、周りから見てもあからさまに酷い態度をとられていた。

ラケット行方不明事件

ある日、B先生の私物ラケットがなくなったと騒ぎになった。B先生は「俺は絶対にこの部室の中にラケットを置いた。それなのになくなったということは部員のお前たちのだれかが盗んだんだ!」の一点張り。

そもそも部室は練習に使う道具を入れる用途で使っていたので、本来は私物を置くべき場所ではない。自分の落ち度には一切触れず、一方的に部員たちを悪者にして、しまいには自分が気に入らない部員たちに向かって「お前が盗んだのか?」と言うまでだった。

練習が終わると、B先生はラケット行方不明事件について職員室で言いふらしていた。やがて校長先生の耳にまで届き、聞き取りを行われるまで事態は大事になった。

【落とし物BOX】に届けられたものの正体は?

しかし翌日、思いがけない展開でB先生のラケットが発見される。A先生が職員室を出ると【落とし物BOX】にラケットを入れようとしていた生徒を偶然にも発見したのである。もしや、このラケットは……と直感が働いた。

校内やグラウンドなどで落とし物があると、生徒はこの【落とし物BOX】に入れることになっていた。A先生はラケットを入れようとしていた生徒に「このラケット、どこで拾ったの?」と尋ねると、「体育館の隅に落ちていました」と言ったのである。

どうやら、B先生は部室に置いたと思い込んでいただけで、実際は体育館に自分が置き忘れだけだったのだ。

謝罪をしても深まるばかりの溝

B先生は校長室に呼び出されて厳しく指導を受けた後、部員たちに直接謝罪することになった。しかし、部員たちからの信頼は元々ないに等しいので、ますますB先生に対する不信感がいっそう強くなるだけだった。

次年度、B先生は卓球部顧問を外されることになった。日頃から自身に落ち度や非があったときに素直に認めていたら、「大人だから」「顧問だから」という悪いプライドを捨てていたら、少しだけでも生徒の気持ちに寄り添って指導していたら……B先生の末路は変わっていたかもしれない。

【体験者:20代・男性、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:村木 あすみ
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた30代2児の母。また、公立中学校教員として勤務した経歴もあり、部活動にも携わってきた。自身のスポーツ経験や観戦、そして教育現場で見聞きしてきたリアルなエピソードをコラムとして執筆している。

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