中学2年の秋、ベンチで任されたのは得点の記録係でした
私は中学2年生の秋、地区の新人戦にバスケットボール部の一員として出場しました。とはいえコートに立つ機会はほとんどなく、ベンチで自チームの得点をノートに書き取る記録係を任されていたのです。
誰が何点決めたのかを、シュートが決まるたびに書き込んでいきました。試合に出られない私にとって、得点の記録は唯一の仕事でした。
第3クォーター終盤、ノートとスコアボードの数字が合いませんでした
第3クォーターの終盤、私はノートとスコアボードの数字が合わないことに気づきました。味方が決めた3点シュートが、2点として記入されているようでした。
周囲は誰も気づいていませんでした。申し出れば試合が止まり、流れが変わってしまうかもしれない。私はノートを握ったまま、声を出せずにいました。
残り2分、1点差の場面で顧問にノートを差し出しました
第4クォーター残り2分、点差は1点でした。次のタイムアウトで、私は顧問に自分のノートを差し出しました。
顧問が記録席に確認を求め、審判が記録用紙をさかのぼると、第3クォーターの3点シュートが2点で記入されていたことが判明しました。得点は訂正され、1点差だったスコアは2点リードに変わったのです。
フリースローで逃げ切り、翌週から記録係は2人体制になりました
残り時間、相手は追いつこうとファウルを重ね、私たちはフリースローで得点を積み上げて逃げ切りました。
試合後、顧問がかけた言葉は「よく見ていた」の一言だけでした。翌週から、記録係は2人体制に変わりました。
まとめ
私は引退までベンチが中心で、コートに立った時間はわずかでした。それでも、今でもあの日だけは自分が試合に出ていたと感じています。
コートに立たなくても、チームの勝敗に関われる場所はあります。まずは、任された役割を最後まで丁寧に続けてみてください。小さな確認の積み重ねが、いつか試合を動かす1点につながるかもしれません。
【体験者:20代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06
幼少期からさまざまなスポーツに親しんできた、10代の現役学生ライター。合気道やテニス、アーチェリーなど、ジャンルの異なる競技と向き合ってきた。自身の経験に加え、周囲にもスポーツに取り組む友人や知人が多く、競技の裏側や選手ならではの悩み、恋愛、人間関係など、リアルなエピソードに触れる機会がある。そうした実体験や身近な声をコラムとして執筆している。

