高速で片道1時間の会場と週末の車中泊
これは、私の娘が小学2年生の夏の話です。
当時は九州に住んでいて、娘が通うアイスホッケーチームの練習会場は、自宅から高速道路で片道1時間でした。高速代とガソリン代を抑えるため、週末は会場の近くで車中泊をしていました。
平日は自宅に戻り、車中泊用の敷きマットは車に積んだままにしていました。
その週の金曜日、朝から晴れているのを見て、私は今日のうちに洗ってしまおうとマットを下ろしました。風呂場で洗い、水を吸って重くなったマットを2階のバルコニーに運んで広げるまで、1時間ほどかかりました。
その晩から引かなかった頭痛
その晩から頭痛がひどくなり、熱中症かもしれないと水分を多めに摂りましたが、間に合いませんでした。
土曜も頭痛は引かないまま会場へ移動し、その夜もいつも通り車中泊をしました。迎えた日曜は、立ち上がるのがやっとの状態です。
いつもはリンクサイドのフェンス越しに練習を見ていて、娘も氷に上がる前に決まって「練習見てて」と言ってきます。
しかしこの日は、日陰に車を停め、後部座席で横になって待つことにしました。そう伝えると、娘は「もちろんいいよ! 体調悪いのに連れてきてくれてありがとう」と言って、防具を抱えてリンクへ入っていきました。
車をのぞき込んだ保護者の言葉
車で横になっている私に気づいたのが、娘と同じ学年の子どもを持つチームメイトのお母さんです。窓越しに私の状態を確認すると、その場でこう言ってくれました。
「うちは近所だから、冷房の効いた部屋で休んでいいよ」さらに、「陸トレには娘ちゃんをうちで連れて行くよ」と続けます。
この日は氷上練習のあと、別会場の河川敷での陸上トレーニングが控えていました。ラダートレーニングや、陸用のパックでハンドリング練習をする時間です。
帰り道に何度も思い返した言葉
私は体を起こして窓を開け、お礼を伝えました。
結局その日は部屋を借りることはせず、氷上練習が終わったあと、娘を乗せて高速道路に乗り帰路につきました。
運転しながら何度も思い返していたのは、その保護者からかけてもらえたその言葉です。仲間ができていたのは娘だけではなく、私にもできているのかもしれないと嬉しくなった出来事でした。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:村岡栞里
子どものアイスホッケー環境を整えるため、九州から北海道への移住を果たした、並外れた行動力を持つ親目線ライター。5年を超えるキャリアを経て、新天地でさらなる高みを目指す娘の競技生活を「現在進行形」で全力サポートしている。これまでの道のりで、指導者や保護者間のリアルな人間模様、子どもたちが直面する葛藤を肌で感じてきた。今もまさにその渦中に身を置き、苦楽を共にしているからこそ紡げる「生きたエピソード」が最大の強み。現場のリアルな息遣いが伝わるコラムを執筆している。

