これは、筆者とチームメイトが中学生の時の話です。バスケの試合で相手選手の陰湿な小細工に悩まされるも、我慢してプレーを続けたら──?

偶然か、わざとか

女子バスケの地区大会予選。
私たちのチームは、以前から何度か対戦している相手との試合に臨んでいた。

試合は序盤からほぼ互角。ゴール下では激しいリバウンド争いが続いていた。
試合が進むと、私はリバウンドに競り負けるようになってきた。

相手の背後に入ったとき、ジャンプする直前につま先を踏まれる。
ほんの一瞬だけ踏まれるため、踏み切るタイミングがずれてしまう。

「今の、わざと……?」
そう思ったものの、確信は持てなかった。

前に入ればユニフォームを引っ張られる

次は私が相手より先にリバウンドポジションを取った。
これなら取れると思って跳ぼうとした瞬間、背中のユニフォームがわずかに引っ張られた。

体が一瞬遅れ、取り損ねてしまった。
「あれ……?」
それからも、同じようなことが何度か続いた。

相手の背後にいれば足元を狙われ、前に入ればユニフォームを引っ張られる。
最初のうちは気のせいかと思っていたが、何度も続くことで確信に変わった。
だがどれも一瞬の出来事で、審判からは見えにくい。

悔しい──。
だが、ここで私が同じようなことをやり返してしまえば、試合そのものが嫌な空気になる。
「気にせず、ちゃんと取りにいこう」
自分にそう言い聞かせ、後半もプレーを続けた。

最後の最後で、審判が気づいてくれた

試合終盤、点差はわずか。
次のリバウンドが勝敗を左右すると言っても過言ではない場面だった。

シュートが打たれ、私は相手より先にゴール下へ入った。
ボールがリングに当たった瞬間、私は思いっきりジャンプした。
その直前、背中のユニフォームがまた引かれた。

しかし今回は、近くにいた審判がしっかり見ていた。
「ピーッ!」
笛が鳴り、相手にファウルが宣告された。

我慢して乗り越えた先の爽快感

さらに審判は、相手選手に
「次はアンスポ(アンスポーツマンライクファール)取るよ」
とこっそり注意してくれていた。
相手選手は驚いた顔をしていたが、審判は淡々と説明していた。
それまで何度もギリギリのところで続けていた小細工も、最後には見逃されなかった。

その後、相手のチームファールの累積によりフリースローを獲得。
点差を離して、そのまま私たちが勝利した。
我慢して正面からプレーし続けたからこそ、最後の笛がいつも以上にスカッと感じた。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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