社会人ラグビーでエースと呼ばれた選手
これは、ラグビー経験者のAさんに聞いた話です。
Aさんは、地元の社会人チームでラグビーをしていました。ボールを持って走り、トライを取りにいく役割です。
当時を知る人たちは、今もAさんを「元エース」として覚えています。
ところが、仕事が忙しくなり、Aさんはチームを離れました。そこから、ラグビーのない生活が約5年続きます。
途絶えていったラグビー仲間との連絡
その5年の間には、Aさんが地元を離れていた時期もありました。
同期や先輩など、ラグビーでつながっていた人たちとの連絡は、次第に途絶えていきます。
一方、現役時代に競い合ったライバルたちは、他校の指導者などとしてラグビーに関わり続けていました。地元に戻ってからも、Aさんは今どこで何をしているのかを、昔の仲間に伝えていませんでした。
そんなある日、Aさんは高校ラグビーの大会が開かれている会場に入ります。
「うわ、お前なんでここにいるんだ?」
会場には、現役時代のライバルたちの姿がありました。
そのうちの一人がAさんに気づき、目を見開きます。
「うわ、お前なんでここにいるんだ?」
5年ほど姿を見せなかった相手が、何の前触れもなく大会の会場に立っていたのです。
Aさんは、こう明かしました。
「今は地元の高校でコーチをやってて」
Aさんはこの日、出場チームの帯同者として会場に来ていました。きっかけは仕事です。新しく勤めることになった地元の高校にラグビー部があり、「ぜひ指導をしてほしい」という話になりました。Aさんの母校ではありませんが、Aさんはこの話を引き受けていたのです。
相手は「なんだよ、早く言えよ」と返し、その場に笑いが起こりました。
LINEグループに流れた「Aが戻ったぞ」
この再会は、その場だけでは終わりませんでした。同期や先輩など、ラグビー仲間でつくるLINEグループに、すぐに知らせが流れます。
「Aがラグビー界に戻ったぞ」
この一言をきっかけに、歓迎のメッセージが次々と飛び交いました。連絡が途絶えていた仲間たちが、Aさんを迎え入れたのです。
5年ぶりの再会で明かされた「まさかの正体」は、選手ではなくコーチという新しい姿でした。
届いたメッセージの中には、こんな一言もありました。
「ラグビー界に戻ったんなら、お前、一言言えよ」
【体験者:30代・男性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


