上司に誘われて卓球を始めたAさん。初めての大会で「久しぶりなので全然打てない」と話す男性と対戦。しかし、その言葉からは想像できない実力で──?
上司に誘われて始めた卓球
私が卓球を始めたのは、会社の上司に誘われたことがきっかけだった。
最初は軽い運動のつもりだったが、やってみると思いのほか楽しく、仕事終わりや休日に上司と練習することも多かった。
そんなある日、上司から地域の卓球大会に出てみないかと誘われた。
まだ始めたばかりで不安もあったが、経験を積むつもりで参加することにした。
初戦の相手は気さくな男性
大会当日、私の初戦の相手は40〜50代くらいの男性だった。
試合前に挨拶をすると、男性は笑いながら話しかけてきた。
「卓球するの久しぶりなんですよ。全然打てないと思いますけど、よろしくお願いします」
その言葉に、初心者の私は少し安心した。
「私も始めたばかりなんです。よろしくお願いします!」
お互い気楽に楽しめそうだと思いながら、ラケットを握った。
試合が始まるとまさかの展開
ところが、試合が始まった瞬間、その考えは吹き飛んだ。
男性のサーブは鋭く曲がり、まともに返すことすらできない。
ようやく返球できても、今度は強烈なスマッシュが飛んでくる。
あっという間に点差が開き、私はほとんど何もできないままストレート負けを喫した。
試合後、応援していた上司に「話が違いますやん……」とこぼすと、上司も苦笑い。
男性は息ひとつ乱さず、涼しい顔をしていた。
「打てない」の意味が違いすぎた
試合後、男性と少し話す機会があった。
あまりの強さに経験を尋ねると、男性は何でもないことのように答えた。
「学生の頃、熱心に取り組んでいました。全国大会に出たことがあるんですよ」
思わず「えっ!?」と声が出た。
さらに「昔はもっと動けたんですけどね」と笑う男性。
どうやら、彼の言う「全然打てない」は、全国レベルだった頃と比べての話だったらしい。
私が思っていた「打てない」とは次元が違いすぎる。
初めての大会で、卓球の奥深さと謙遜の恐ろしさを同時に知った出来事だった。
【体験者:40代・男性会社員、回答時期:2026年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


