フランス代表のエースとして、同国を2018年のFIFAワールドカップ優勝に導いたキリアン・エムバペ。

弟のイーサン・エムバペはアルジェリアサッカー協会(FAF)から代表招集の打診を受けているという。

カタールメディア『beIN Sports』によると、FAFは来年のワールドカップに向けた代表チームの強化戦略の一環として、欧州で育ったアルジェリア系選手の発掘を本格化。

その象徴的なターゲットとして、キリアン・エムバペの弟であり現在フランス1部のリールに所属するイーサン・エムバペに正式なアプローチを行ったという。

FAFは先月、フランスサッカーのレジェンド、ジネディーヌ・ジダン氏の息子であるGKルカ・ジダンを代表に初招集して大きな話題を呼んだ。今回の動きはその延長線上に位置づけられている。

イーサンは今季のリーグ戦5試合の出場にとどまっているが2得点を挙げており、この世代のフランス人選手を代表するタレントとして将来を有望視されている。

だが、同選手はフランスの他にアルジェリアとカメルーンの代表入り資格を有しているとされており、アルジェリア代表を選択すれば、来年のワールドカップに出場して兄キリアンと対戦する可能性も現実味を帯びる。

一方、このFAFの積極的な“逆輸入政策”には同国の国内外から賛否両論がある。

アルジェリア国内では「外国育ちの選手を優先するのか」という声が上がり、フランス側では「また若い才能を失うのか」という危機感が漂っている。

特にフランスサッカー協会(FFF)は、これまでも多くの多重国籍選手を引き留められずに失ってきた苦い歴史があるだけに、今回もそのケースになるのではないかと警戒を強めているという。

イーサンは現時点で沈黙を貫いており、決断の行方は見えないままだ。

同メディアは「イーサンは今、サッカーとアイデンティティ、そして地政学が交差する物語の中心に立っている。一つだけ確かなことは、フランスはもう二度と『ルカ・ジダンの再来』を経験したくないということだ』と結んでいる。

筆者:江島耕太郎(編集部)

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