[天皇杯ラウンド準決勝、J1FC町田ゼルビア 2-0 J1FC東京、11月16日、東京・国立競技場]
優勝した2011年大会以来14大会ぶりの決勝進出を目指すFC東京だが、延長戦の末に敗れ、決勝進出を逃した。
今年6月22日に行われたJ1第21節ガンバ大阪戦以来の公式戦出場となったGK波多野豪は、安定したセービングを見せるも、チームを勝利に導けなかった。

しっかりとボールをキャッチする波多野
安定した守備を見せるも、延長戦で2失点
「シンプルに悔しい」
試合後、波多野は率直な心境を隠さなかった。
9日に同会場で行われた町田との試合をベンチから見守っていた波多野だが、リーグ戦でFC東京のゴールマウスを守るGKキム・スンギュが現在韓国代表に帯同しているため、この日波多野に出場機会がめぐってきた。
約5カ月ぶりのプレー機会にかける思いは強かった。練習から最終ラインの選手たちと積極的にコミュニケーションを重ね、自信を持って試合に臨んだ。
FC東京の背番号13は、試合を通して高い集中力を維持し、見事な統率力で守備陣をまとめ上げていた。
「練習からいいコミュニケーションを取れていました。練習通りに守れていたので、そこは良かったと思います」

強烈なシュートをはじく波多野
だが、延長前半13分に一瞬の隙をつかれた。
町田は後方から長い球をゴール前へ送ると、競り合いから波多野とDFアレクサンダー・ショルツの間にボールがこぼれる。セーフティに外にかき出したい場面だったが、後ろから足を伸ばした相手選手に決められて痛恨の先制点を献上した。
さらに延長後半4分に決定的な追加点を奪われ、その後も得点を挙げられないままタイムアップとなった。
波多野は「最後のディティールだったり、2失点目はもっと(DFに)タイトに行かせるところだったなと。90分を通してできていたんですけど、延長戦に入ってからは足が止まった。そういったところを僕が後ろから気を引き締められるようにできたら」と、反省を口にした。
それでも、国立競技場に集まった多くのサポーターの声援は大きな力になったという。
「(自身への声援は)すごくうれしかったですし、その声援に応えたかった。皆さんを決勝に連れていけなくて本当に悔しいです」
残り少ないシーズンでポジション奪取を狙う守護神は、その声援に応えられなかった現実を噛みしめながらも、前を向く。
FC東京は30日午後2時からアウェイでヴィッセル神戸と対戦する。
(取材・文 縄手猟、写真 浅野凜太朗)

